博士が100人いる村

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創作童話の「博士が100人いる村」は有名だろう.博士課程の中の人として意見を述べると,概ね間違っていないと思える.最後の方とか,真実みがありすぎて,切実に問題だと思う.実際問題,色々な意味で絶望している博士課程生は大量にいると思われる.オレも絶望している1人であるわけですが.

100にんのはくしがうまれたら,14にんがだいがくのせんせいです.あらあら,いがいに少ないのね?

これは事実に反していないと思います.そもそも教員の公募が減っている上に,新卒対象の公募なんて存在しないわけです.あまつさえ,昨年末頃に指導が入ったらしく,公募に年齢条件を記載してはいけなくなったらしく,ライバル急増.ただですら狭き門だというのに,どれだけ新卒に優しくない世界なんだ.

多くの学士卒・修士卒の皆様方は卒業・修了するおよそ8ヶ月前までには就職先が決定していることでしょう.そして,それを当たり前のように感じていることでしょう.幸せですね.博士の就職活動はそのような仕組みにはできておらず,修了8ヶ月前に就職先が決まっている人なんて,皆無では無かろうか.そもそも就職活動自体を始めていないという可能性だって,十分に考えられる.博士の就職先が決まるのは,年明けにずれ込むことがザラであると思われる.だって,就職活動よりも,学位申請の方が圧倒的に重要ですからね.学士・修士と違って,学位が取れないという可能性が考えるまでもなくあるからだ.まずは自己保身から.

普通の人よりも5年も多く学費を払い,5年分の所得差を付けられ,5年の入院生活で心が荒み,研究論文研究論文のデフレスパイラルに陥り,必死に必死に頑張り続けて,やっと学位が取れるか取れないかという次元の話.なのに,これだけ苦労して手に入れた博士の学位は一体何に役に立つのだろうか.16人が無職になって,8人が行方不明か死亡しているというのに.

博士って,いつ報われるんだろう.

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