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jsclassesとhyperrefを併用して卒論などを執筆するときの注意事項

| jsclassesとhyperrefを併用して卒論などを執筆するときの注意事項

追い込み乙!というわけで,卒論や修論や博論を仕上げる時期だと思います.理工系の大半はLaTeXで学位論文を仕上げていることかと思います.極少数のWord使いやこだわりの一太郎派がいるかと思いますが,そんな方には無縁の話です.勝手に苦労してください.

さて,重要なお話.特に,オレが過去に書いた修論や博論のテンプレートをベースに執筆している人は要注意.おかしいなぁ・・・.オレが博論を書いていたときは問題がなかったのだが・・・.パッケージ類の説明は避けるとして,プリアンブル部は以下のように指定する.日本語しおり付きで,リンク付きのPDFが作成できます.

%\documentclass[papersize,12pt,oneside,openany]{jsbook} %片面刷り 奇偶同一デザイン
\documentclass[papersize,12pt]{jsbook} %両面刷り 右開き 右起し
\usepackage{amsmath,amssymb}
\usepackage{times}
\usepackage[dvipdfm]{graphicx}
\usepackage{cite}
\usepackage{url}
\setcounter{tocdepth}{2}
\usepackage{atbegshi}
\AtBeginShipoutFirst{\special{pdf:tounicode 90ms-RKSJ-UCS2}}
\usepackage[dvipdfm]{color}
\usepackage[%
dvipdfm,%
pdfstartview={FitH -32768},%
bookmarks=true,%
bookmarksnumbered=true,%
bookmarkstype=toc,%
colorlinks=false,%
linkbordercolor={0 1 1},%
citebordercolor={0 1 0},%
urlbordercolor={0 0 1},%
pdftitle={ふがふが法による超絶技巧組曲の研究},%
pdfsubject={ほげほげ大学 平成21年度博士論文},%
pdfauthor={ラテフ太郎},%
pdfkeywords={fugafuga, 超絶}%
]{hyperref}

ポイントはPDFしおりの文字化け対策と用紙サイズが適切に認識されない問題への対応です.PDFのしおり文字化け問題は昔のエントリーを見てください.documentclassのオプションにpapersizeを付けてやると用紙サイズがdvipsやdvioutに送られます.詳しくはマニュアルを読んでください.参考にしたのはこの情報.だいぶ昔からあった問題みたい・・・.何故,オレが博論執筆していたときは問題が具現化しなかったんだろう??

この設定で勝つる!Wordや一太郎で書かれた論文を超美文章であるLaTeXで圧倒してやるがいい!内容の責任は持てないが.

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思うところがあって,教育に関する話題は避けてきたわけですが,チラッと書いてみる.全て私見であり,持論です.正しいかどうかは,今後40年をかけて検証したい.そしてそれは,教育という世界において致命的だ.

工学部でよくある人事は、国や企業の研究所に勤めている35~40歳の方を大学に転職させるケースだ。成功例も多いが、失敗例も多い。このような方は大 学で博士号を取得し、ずっと研究の世界にいて、学界のことしか分かっていないことが多い。一般社会という現場を知らないことが大きなマイナスになっている 場合が目立つのだ。研究テーマの選び方を間違えたり、研究発表ですべてが終わったと考えてしまったりする。

だから、修士課程卒業で民間経験のある方を、30歳ぐらいの若い段階で大学へ転職させ、その後で、博士の学位を取らせ、次のステップに進む形の人材育成プランの方が、成功確率が高いことが多い。

縮みゆく大学経営:日経ビジネスオンライン

私には理解しがたい考え方である.大学は研究教育機関であり,研究を行う機関であると同時に,教育の最高学府でもある.しかし,ここで語られることの多くが,研究についてのみであり,教育の観点が全く抜け落ちている.大学教育というものが論じられるとき,往々にして,研究の視点か教育の視点のいずれかに偏って語られる,だからあえて,私は教育の観点から私見を述べたい.

私が学部生だったころ,私の大学はいわゆる古き良き時代の先生方が多く在籍していた.それはつまり,大学を卒業し,そのまま助手として大学に残り,そのまま博士号(もしくは修士号)を取り,助教授になり,教授になった先生方が多くいた.学舎で育てられ,愛校心を持ってその学舎を育ててきた,言わば学舎に骨を埋めた方々だ.詳しくは追々書くことになると思うので,眠いこともあり,今回は詳しく書かない.だが,その先生方の指導は本当に素晴らしかった.授業の内容が今役に立っているかと言えば,ほとんど役に立っていない.授業だって,「今日はワールドカップなので,16時で終わります」なんてまかり通っていた.でも,そこで学ばされた2つのことは今も実直に守っている.「自分の知らないことは人が見ていないところでコッソリと勉強する」と「勉強はさせられるものではなく,自らするもの」.私の大学で学んだことは,この2つだったと言っても過言ではない.

こういう教えをする本質はなんだろうか.大学の教育はなんだろうか.大学教育に求められるものが,専門性のある高度な知識だったり,研究のノウハウなのだろうか.それとも,就職予備校だろうか.もし,それらが大学教育の本質であるのならば,それはそれは専門家の優れた方々を大学教員として招聘すれば宜しいと思う.しかし,そこに愛校心はあるのだろうか.「私が困るからお前ら勉強しろ」と言えるだろうか.大学教員が学生に講義をするのは何故だろうか.何のためだろうか.

誤解を恐れずに,言葉汚く言うならば,企業人が大学教員になる時,それはビジネスライクであり,金やキャリアのためだったり,あまつさえ企業研究所のポジションを下の者に譲るためとかではないのか.もし,大学が大学院と完全連携し,大学は教育,大学院は研究と位置付けが完全に分業化された時,企業出身者は大学教員になりたいと考えるだろうか.大学院教員になりたがるのではないだろうか.

大学の役割がどうこうは別として,学生の視点で見た時,大学は何を教育すればよいのだろう.就職予備校と揶揄される昨今,大学教育における研究の意義はどれ程あるのだろうか.学生のほとんどは生涯にわたって,研究に触れることはない.研究を続けていくのはほんの一握りである.大学が力を入れるべきは,どのような学生を世に送り出すかだと思う.どんな研究をさせるかではないと思う.一般的に,そうだと認識されているとは思うけど,確認のために書いてみた.

話が蛇行し始めたので,閑話休題.大学教員に求められる能力が教育であるとするならば,民間経験は必要ないと思う.それは小中高の現状を見れば明らかである.少数の民間経験者が新しい風を吹き込む役割をすればいいと思う.そして,博士号取得が必須条件という状況も,一定の条件下で緩和されるべきだと思う.大学教員に求められる能力が研究であるとするならば,民間経験は必要かもしれない.民間経験をしていない私には判断できかねる.

初等中等教育には,民間経験者を採用する特別教員免許状制度の動きがある.また,博士号取得者を教員に採用するという動きもあった.上手くいっているらしい.企業から優れた研究者を多く採用してきた大学は,一転して教育の視点から教員採用をする時代が来るのではないだろうか.というか,期待したい.

関連:
縮みゆく大学経営:日経ビジネスオンライン
博士号取得者のみを大学教員とする方針についての見方 - 発声練習
何故わざわざ自らの手足を縛ろうとするのか - Marriage Theorem 新居
私が困るからお前ら勉強しろ :: 「事象の地平線」過去ログ倉庫

1年後の成果報告を期待したい.

秋田の博士教員採用決定 - 4403 is written

まだ1年は経っていないが,成果報告のような結果が見えてきているようだ.情報は発声練習さんから.

採用された6人(うち1人は非常勤講師)の1人、瀬々将吏・秋田県立横手清陵学院高等学校教諭が、NPO法人サイエンス・コミュニケーションのメールマガジン「SciCom News」26日付の巻頭言で、近況を報告している。

2009年1月26日「秋田県のポスドク先生は今」 サイエンスポータルレビュー 科学技術 全て伝えます SciencePortal

秋田の博士教員6人の1人である瀬々博士が近況報告を行っているらしい.これは必見だ.

大学で多くの時間を過ごしてきた私にとって高校での生活はとても新鮮でした。一つの職員室に80名もの大所帯で、国語や社会、音楽など、異分野の先生方とも距離が近くいろんな話ができます。(中略)専門分野だけではなく、いろいろなことに興味のある方ならきっと楽しめる環境だと思います。

[SciCom News] No.278 2009年1月26日号 Vol.1 [まぐまぐ!]

小中学校で理科補助教員をやっていた経験からいえば,この意見はよく分かる.大学だと研究室というユニット単位での活動になって,横の研究室または他の学科との繋がりというのはそれ程に強くはない.そこにきて,小中学校は学年毎の固まりはあるものの,全体としてみれば横の繋がりも縦の繋がりも色々あって,人脈が縦横無尽の状態といえる.そういう環境の中で,それぞれがそれぞれの役割でみんなと助け合っているというのが,いわゆる職員室だろうか.研究者の世界こそ,こうであるべきではないのだろうか.色んな分野の人とガチャガチャやって,それぞれの強みでコラボレーションするなんて,素敵すぎるじゃないか.工学のオレに数学科の力を分けてくれ!人文社会学的なアプローチ法を教えてくれ!そんな感じ.職員室は楽しい.これ,間違いない.

いまの中等教育の課題は、生徒の「学びへのモチベーション」をいかに喚起するか、ということに尽きると思っています。高校にアカデミックな態度と雰囲気を持ち込んで生徒をその気にさせる存在として、ポスドク出身の方々がこれからもおおいに活躍できることを期待しています。

[SciCom News] No.278 2009年1月26日号 Vol.1 [まぐまぐ!]

これもまた真実で,中等教育に限った話ではないと思う.理系離れが叫ばれる昨今においては,確かに中等教育で理科離れを食い止め,理科好きを育成することに重要な意味があるだろう.しかしながら,それを真に行うべきは,高等教育だろう.高等教育は「学びへのモチベーション」に寄与できているだろうか.難しい数式を計算できることも,広く深い知識を獲得することも,高等教育の目的ではあるが,「勉強おもしれぇ!」という意識を芽生えさせ,正に生涯学習を推し進める力を授けることが高等教育の役割ではないのだろうか.というか,オレはそうだと思っている.「勉強つまんね.単位取れればいいや.卒業できればいいや.学歴と建前と猫かぶりでいいとこ就職するぜオラー.」っていう学生を育てるのが大学の仕事ですか?違いますよね?大学における教育ってなんですか?何を求めているんですか?

Q4:教育なめられすぎだと思う

(中略)

教育業というのは中途半端な能力の持ち主にぴったりの職種なんですね。

能力を持っている者がそれを使わないのは罪だとなぜ思えないのですか? @heis.blog101.fc2.com

話はこの辺りに帰着するわけだが,「博士=研究者」はエリートだと思うんだ.博士だからって,「研究者」として大成しないことだってあるだろう.「研究者」としては不十分でも,その博士としての卓越した知識などは,十分に役に立つはずである.誰のために役立つか?次世代のために役立てるべきだ.自分が「研究者」としてダメだとしても,「次世代の研究者」になるかもしれない若者に何かしらの刺激を与えることができるかもしれない.それは可能性の問題であって,博士は研究をするだろうし,教育もして然りだと思う.それが博士という存在の役割だと思う.

どのように教えれば良いかということ自体も研究のテーマと成りえる。(同じく、「研究をやる時間がなくなったときに先生を続けるモチベーションはなくならないか?」という質問に対しての答え)

参加記(2):プレゼンテーションの感想 - 発声練習

思うには「研究をやる時間がなくなったときに先生を続けるモチベーションはなくならないか?」という感覚なら,教員になんてならない方がいいと思う.教員になったら研究をやる時間が無くなるくらいに教育に没頭しなくてはならない.そのぐらいの勢いが欲しい.そういう情熱が教育現場に浸透すれば,学生の勉強に対する意識も変わると思うのだが・・・.「教育自体が研究テーマ」 というのも,その通り.ただ,「これだ!」という画一的な教育法は恐らく見つからない.この前の班はこの方法で上手くいったのに,今回の班は上手くいかない.去年と同じ方法で授業を進めているのに,今年は成績が振るわない.そんなことはザラです.常々考えて,どうしたら上手くいくかを試行する.こういうことって,博士は得意としそうなことです.

また、博士号取得者は都道府県教委が認めた場合、教員免許を与えることができる「特別免許状」という制度がありますので、全国に広まると大変いいのではないかと思います。

「博士ネットワーク・ミーティング@つくば」博士先生登壇 - 橋本昌隆 株式会社フューチャーラボラトリ - Yahoo!ブログ

この話は詳しく書こうと思えば,詳しく書けまくるのだが,眠いので控えたい.機会があれば「特別免許状」という制度と現状の運用について述べたい.述べたいが書いたところで読者はいるのだろうか・・・.一応,情報のありかだけ箇条書き.

まとめ:
博士と教育.面白くなってきました.もっと注目されて,取り上げられまくればいいのに!ポスドク問題のようなネガティブキャンペーンはもういいから,博士に関するポジティブアピールをお願いします. 

関連:
「博士教員」理科好きを育成 : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
教員免許のない社会人の採用は広がるか?【Benesse(ベネッセ)教育情報サイト】
秋田が博士を教員として採用の動き - 4403 is written
秋田の「博士」教諭募集に全国から57人 - 4403 is written
秋田の博士教員採用決定 - 4403 is written
最近のドクター関連まとめ - 4403 is written

まずはいきなり本ブログ初、
ドクターコースへ行った人バトン!
を作ってみたいと思います(え)。

:: a 女性科学者のスペース2 | ドクターバトン ::

流行っているみたいなので,流行に乗り遅れつつ,乗ってみる.

1. マスターからドクターに進むとき、迷いはありませんでしたか?
ありませんでした.ドクターに進学してから,迷いどころか悩みましたが.何度退学を考えたことか・・・.

2. 学部生の時や修士の時、どうして研究者になろうと思いましたか?
なろうと思っていません.未だに.ドクター取得は大学教員になるための手段に過ぎませんでした.大学教員が研究者だとするならば,研究者になりたかったからでしょうか.ボクは全ての大学教員が研究者であるとは思っていません.

久しぶりに博士の話題.近々,もう1回書くかもしれない.この不況に影響されてかどうか分からないが,経産省が理工系博士(ポスドク)をどげんかしようとしているようだ.

経済産業省は、博士号を取得しても定職に就けず、非正規労働者の位置付けで研究を続ける理工系の「ポストドクター」(ポスドク)の就職支援に乗り出す。

高度な専門知識を持ちながら就職難に苦しむ若手研究者に4月から約1年間、民間企業で働く機会を設ける。実力が認められれば正社員への道が開けるという。

理工系博士号持つ“非正規”、経産省が就職支援へ : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

なるほどなるほど.人材派遣みたいなもんでしょうか.1年という期間が妥当かどうかはよくわかりませんが,ポスドク問題を考えるなら,任期無しっていう辺りが重要のような気がしますが,如何でしょうか.

就業体験中は、給与として研究職の場合で年間約450万円を支給する。研究支援職なら400万円、研究事務職は380万円だ。

理工系博士号持つ“非正規”、経産省が就職支援へ : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

どういう形で雇用されるのかわからないけど,450万円は結構良さそう.ただし,任期付きで後がないという意味の保険が含まれているとしたら・・・.で.給料の話はそこそこにして,この記事が伝えるポスドク問題の根深さというか,この施策の無力さというか・・・.

1月下旬から約200人の若手研究者の公募を始め、(中略)。このうちポスドクは60人で、(中略)。

また、理工系の学部・修士卒も130人を募集し、(中略)。研究関連の事務職でも10人を採用する。

(中略)

ポスドクの数は06年度で約1万6000人に達している。

理工系博士号持つ“非正規”、経産省が就職支援へ : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

ポスドク1.6万人に対して,募集は僅かに60人.実に260倍の競争率.経産省が本気を出しても救いきれない状況にまで,ことは進んでいるのです.同情するなら職をくれ.記事にするなら斡旋してくれ.と叫びそうな状況だと思います.

200901181415追記:
おっと.もしかすると,これはミスリードか?最後に書かれているポスドク1.6万人ってのは,全分野の総数ですね.と思ったけど,実際はほとんどが理工系だったorz.参考資料はこちら

スタディスキルズ―卒研・卒論から博士論文まで、研究生活サバイバルガイド

スタディスキルズ―卒研・卒論から博士論文まで、研究生活サバイバルガイド
著者: Kathryn L. Allen
訳者: 伊藤俊洋,黒澤麻美,伊藤佑子,吉田朱美
価格: ¥1785(税込)
出版社: 丸善 (2005/12)
ISBN-10: 4621076523
ISBN-13: 978-4621076521

発声練習さんがお勧めしていたので,即行で注文した.実は未だに読めていない.申し訳ない.忙しいという体の言い訳.また,同エントリー中で私のエントリーを取り上げて頂いて,誠にありがとうございます.お礼が遅くなって,誠に申し訳ありませんm(__)m.

さて,そんなこんなで全く読めておりません.一応,パラパラと全体に目を通してみました.

まとまった知識は本で得た方が早いよということ。

研究スタイルについてネットでいろいろ探すよりも本を読もう - 発声練習

このようにお勧めされているように,全く以てこの本を1冊読めばよい.個々の細かい知識はブログなどの情報が優れる面が多いかも知れない.でも,まずこの1冊を読んでから,webの世界を探すのが良いだろう.スタディスキルズには研究をする上での基本がほぼ網羅されている.必要十分と言える内容になっており,これ1冊でも,学ぶことは多いと思う.

発声練習さんは4章の「批判的な読み方」をお勧めしていますが,ボクは敢えて3章の「情報検索」をお勧めしたいと思います.研究者が研究者足るためには,世界を広くしなくてはいけません.我々は我々が触れた世界しか知り得ることができません.世界中にどんなに素晴らしい研究成果があったとしても,それを知るまでは,その存在を知らないのです.それがそこにあるにも関わらず.だから,研究者になろうとするためには,そこにある情報を知る術を身につけなくてはならないと思うのです.未知のものをどのようにして見つけ出すか.そのサバイバルガイドが3章の「情報検索」に書かれている.

私がまとめたサーベイの仕方も「情報をどうやって見つけるか」を伝えたくてまとめたものです.情報はそこにある.でも,まだそれを知らない.その未知の情報をどうやって見つけ出すのか.論文の読み方ももちろん重要ではありますが,その読むべき論文はどこから来るのか?指導教員が常に与えてくれるのか?それは自分の研究と言えるのだろうか.自分の研究として,自分が自立して研究していけるようになるためには,文献調査こそ大事だと思う.だからこそ,私はこの「情報検索」を大事にしたい.お勧めしたい.

まとめ:
パラ読みですが,この本はお薦めできる.間違いない.オレのブログなんて読んでないで,この本を1冊読んだ方がいいよ.マジで.その上で,また読みに来て下さい.

関連:
研究スタイルについてネットでいろいろ探すよりも本を読もう - 発声練習
サーベイの仕方・論文の読み方 - 4403 is written

153 名無しちゃん…電波届いた? :2008/06/13(金) 19:20:06

1位:ポスドク
「先の見えない不安定さが素敵。」「毎年引っ越して全国を股にかけるなんて夢のよう。」
「30過ぎても自由人みたいでカッコいい。」
「やっぱり40間際の人がいいよね。あの生気の無い目にキュンとしちゃう。」

2位:派遣社員
「日本を支える力持ちさん。」「低賃金重労働で頑張るなんてたくましい。」
「住む家も無いなんてジプシーみたいで憧れちゃう。」
「夢も希望も無いのに生きていける精神力は凄い。」

3位:パート
「カタカナでカッコいい。」「鳥みたいな名前で自由を感じる。」
「不定冠詞をつけるとアパートになって超住居。」
「時間限定の超プレミア商品みたいで憧れちゃう。」

憧れる職業!!なりたい職業!:アルファルファモザイク

ネタだろうけど.考えようによってはそう見えるか.確かに,ニートよりはいいかもしれない.

「京大博士」 変身大作戦 - 京都新聞

タイトルだけだと,ネタかと思ってしまうが,大マジ.

京大は、産学連携で協力関係を結ぶ企業に対象者を派遣し、多様な分野で活躍する研究者らに自らの研究内容を説明させて議論したり、共同研究に加わって研究 チームの運営管理を学ばせたりする。国際性や語学力を養成するため、海外の企業や研究機関にも留学させる。1年間の研修中、大学は対象者と雇用関係を結 び、月約10万-30万円を給与として支払う。

羨ましいです.羨ましすぎます.でも,これって,たぶんに博士取得者に適用されそうな気がする.博士取得直前なんて,博論地獄で変身している場合じゃないし,そもそも,学位取得直前に変身しちゃったらダメでしょ.そうすると,博士取得者がこのプログラムに参加すると仮定できそうです.となると・・・.PDみたいに問題の先送りですか.なんとなく,博士の就職難問題は解決されないんだろうなぁと思ってしまいます.

ところで,博士卒は研究者になるだけではなく,大学教員になる人も大勢いると思います.なのに,何故こういった職業訓練や研究指導はされるのに,教育訓練はされないのでしょうか.何故,教育は軽視されているのでしょうか.っていう話をし始めると,「そんなに教育したいなら教育学の博士を取ればいい」という声が聞こえてきそうですが,じゃぁ,工学は教育をしなくていいんですかと突っぱねたい.工学の教員はどうやって,教育を学ぶというのだろうか.それこそ独学しかないのではないだろうか.本当に,大学教員の教育者としての学習はOJTすぎ.

というわけで,「堅い博士」が大学で教鞭を振るっても,学生はきっとつまらないと思うので,大学全入時代に際して,教育で差を付けないといけないんじゃないのかなーって思ってます.博士になる前もなった後も,色々な問題が山積みです.それが博士.厳しい世界だ.

応用物理学会がキャリアエクスプローラマークを発表したことは,以前に紹介した.そのときに,求職中だったオレは羨ましくて羨ましくて,勝手にオレオレCEマークを作成し,使用していたわけだ.そのお陰かどうかは全く不明だが,運良く職を得ることができたので,CEマーク万歳!と言っておこう.

それはそれとして,IEICEの2008年ソサイエティ大会から,CEマークが利用できるようになったみたいだ.べ,べつに,4403-CEマークを使ってくれても良かったんだからねっ!ほら!ここに置いておくから,自由に使いなさいよっ!ライセンスは・・・CC2.0の「表示」だよ!(今,決めたw)

自由に使っていいんだからねっ!

200805271739追記:
2008総合大会から使えるようになってたorz.気づくのが遅いよ,オレ.

博士離れ深刻 競争倍率0.9倍割り込む - MSN産経ニュース

もう,こういう報道は結構です.

博士課程修了者の就職率が6割を切るなど、博士号を取得しても国内での就職が難しいことが進学を敬遠する大きな理由になっているとみられる。

絶対に違うよ.博士に進むようなやつは,就職率なんて気にしないよ.逆に考えてみて下さい.博士卒の就職率が良かったら,進学者は増えるんですか?そんなことないですよね.絶対にないです.そもそも,博士じゃなければ就職できないところっていうのは,研究所か大学ぐらいじゃないだろうか.就職という観点から見ても,修士と博士じゃ目指す場所が全然違う.就職率でなんて,比べられないよ.

進学を敬遠する理由としては,修士でも十分に良いところに就職できてしまえ,場合によっては企業で研究ができる.そして,なんといっても,修士卒に比べて,3年間の収入差がある上に,学費3年分払い続けなくてはならない点だ.金銭的な問題は切実な問題だと思う.最近では,東大や東工大が学費をどうにかすると言っているが,そういう対策はありだと思う.

思うにはだ.博士課程なんざ,行きたいやつだけが行けばいいんだ.行きたいやつがいないとすれば,その程度の魅力しかないわけだ.魅力がないところに人が集まらないのは,当然のことですよね.

今後,この手の情報は取り上げない方向で.毎回毎回,同じことを述べるに過ぎない.何かしらの重要な情報が含まれていたら,それについて言及したいと思います.はい.

「博士募集」に応募殺到 秋田県教委が教員採用 (1/2ページ) - MSN産経ニュース

ガッカリだ.大変にガッカリした.絶望した.

秋田の応募条件は「39歳以下」「博士」の2点だけで、教職課程を修めている必要もなかった。今回採用される6人は30~40歳で、東京大や東京工業大、東北大など一流大学の出身者。

39歳以下の応募条件で,採用されたのは40歳?なんぞ.何が言いたいのかサッパリ理解できないのが,「一流大学の出身者」という一文.一流大学の博士卒でも,これだけ苦労しているといいたいのか,一流大学出身じゃないと,採用しませんよ!じゃん!という意味なのか.どういう意味で書かれているのか,読者のボクはこう解釈した.秋田県教委は大学の名前で選んだんだな,と.

「院生の間では大学院への入学は“入院”と揶揄(やゆ)される。研究職が得られなければ意味ないですから」と関西の国立大博士課程に在籍中の男性(28)は自嘲(じちよう)する。

本当にね.こういうことを発言しないで頂きたい.「博士なら研究職」という考えが博士の常識みたいな言い方.オレは全然違うぜ.オレは大学の教育職に就きたいんだ.決して,研究職に就きたいんじゃない.「大学教員=研究職」という偏見をどげんかせんといかんと思う.

県教委は「一般教員にはない知識や技術を活用しないのではもったいない。選考で模擬授業をしてもらったが、教え方も良い。本県高校生の力になれるはず」と期待を込めた。

1年後の成果報告を期待したい.「博士卒は教育者として不適格だ」という報告ではないことを期待したい.

24日に学位授与式が挙行されまして,博士(工学)を授与されました.やっと,スタート地点に立てました.春からは助教の職位を与えられておりますが,ひよっこ博士として,皆様から多くの経験と知識を学びつつ,邁進して参りたいと思います.御指導御鞭撻のほど,よろしくお願いいたします.

さて,学位授与式に先立ちまして,連合大学院理工学研究科の学位授与者を対象とした昼食会がありました.大変に興味深い内容だったので,そのレポートをしたいと思います.

参加者は8名程度だったと思います.名簿上では学位授与者は11名になっていましたが,詳しいことは後日レポートします(手元に資料がありません).興味深い内容はその懇親会中の話です.各人,所属・名前・指導教員名・感想ならびに次年度以降の所属を紹介したのです.まぁ,なんだ.オレの時だけ,疑いの眼差しだったのは,オレ自身も否定できない.オレもわからん.申し訳ない.いや,何が素晴らしかったかといえば,学位授与者の全てが,PDを含めて何かしらの職を獲得していたということです.これは素晴らしいことではありませんか?研究科長から「日頃のマスコミにより博士の就職先がないという話は気になっている(ムカツクという意味で)」と述べておりましたが,連合大学院の就職率は実に100%でしょう.マスコミによる報道に依れば,6割ほどと言われる博士の就職率の中,これを素晴らしい成果と呼ばずに,なんと賞賛するのでしょう.連合大学院一期生として,ゴタゴタの中,みんな大変に努力し,素晴らしい成果を上げ,完成年度となる本年に規定年限で学位取得し,職を獲得した.これほどに素晴らしいことがあるだろうか.オレは連合大学院一期生として,この事実を誇りに思うし,今後も連合大学院一期生としての名を汚さぬように,日々邁進していきたいと思っている.オレは建学の精神に強く共感している.今までも,これからも.

多少気になったのは,大学教員の職を獲得していたのは,オレだけでした.大学教員はもう1名いましたが,留学生で状況がかなり違うので除外させていただきたい.どういう状況なのだろうか.教員職を獲得できなくてのPDを含めた非教員職なのか,そもそも教員職に興味がないのか.オレは大学教員になりたくて博士の学位を取得した人間なので,大学教員にならないという選択肢はそもそも有り得ない.博士は大学教員の前提条件となりつつなるが,他の職における博士の扱いは今ひとつ理解し得ていない.皆は何のために博士の学位を取得したのだろうか.そのモチベーションを知りたいと思った,懇親会後の一時.

博士となった今だからいえるが,博士という学位は一体なんなのだろうか.

まとめ:
博士なら学内のゴタゴタに巻き込まれても,なんら問題なくはねのける実力がある.博士は間違いなく最高学位.博士の学位を有していることを誇るべきであって,どこの大学から授与されたかで恥じることではない.博士は学位のゴールであり,今後の人生におけるスタートであって,その真価はこれからの成果にかかっている.当然の如く,日々邁進する.「あれがヘタレ系Dだ」と言われるような存在となりたい.

大学4年,修士2年,博士3年,計9年の学費ならびに生活を支えてくれた両親および祖母と亡くなった祖父に対して,感謝の意を述べると共に,これからの活躍を誓うものである.

中日新聞:博士課程の競争率低迷 就職難で4年連続1倍切る:社会(CHUNICHI Web)

博士課程って競争率が関係あるところだったのか.全く意識していなかった.そうかそうか.だから上の方の人たちは「規定年限での学位授与」とか「学位授与率」とか,下らない目標を掲げたがるのか.そういう視点から見れば,博士課程生のハングリ精神は低迷しているかも知れない.それは競争率なのだろうか.

博士号を取得しても国内での就職が難しいことなどが、進学を敬遠する原因になっているとみられ、教育関係者からは「優秀な人材が進学しなくなる」「海外の企業や大学に人材が流出する」と懸念する声が出ている。

違うと思う.恐らくは,近年の超絶不自然な売手市場が根底にあると思う.往々にして,修士まで進めば,ほぼ自由にどんな企業にだって就職することが可能であろう.そのため,優秀な修士は博士に進学することなく,大手メーカ系企業に就職してしまう.結果,博士進学者が減ることとなるし,博士進学者のレベルも下がるかも知れない(これは一概には言えない).また,看過できない状況として,学部生ですら適度に優秀な者なら,大手メーカ系に就職できてしまう現状がある.こんな世の中では,厳しさだけが漏れ聞こえてくる博士課程に進学しようなんて,思う方が変態だろう.まぁ,博士は変態の集合だろうけど.

しかし、大学や研究所などの研究職ポストはあまり増えていない。「博士号取得者は協調性に問題がある」などのイメージを持つ企業も多く、採用を敬遠する傾向がある。

もうね.マジでこの偏見はどうにかした方がいい.メディアが扇動しているのか?博士のコミュニティは大変に社交的だと思うが,如何だろうか.強力なサブカルチャを持ち合わせているだろうし,なんといっても呑み会が大好きだ.思うには,ここでいう「協調性」というのは,博士号取得者を取り巻く周りの人が「劣等感を感じる」という意味ではないだろうか.能力差に圧倒されるのだろう.でも安心だ.オレみたいな凡人もいるし.多くの博士は協調性はあると思うけどなぁ・・・.たまに,「オレがオレが」的な人もいるけど.圧倒的に少ないと思う.

asahi.com:複数大学で共同学部 文科省、設置基準改正へ - 社会

大学全入時代による私大の大幅な定員割れに直面している昨今,魅力のある学部や大学院を複数の大学が共同で設置できるように,大学設置基準が改正されるようだ.「魅力のある」大学って何なんでしょうね.楽して単位が取れる大学.良い会社に就職ができる,つまり,楽して就職ができる.食堂のご飯が美味しい.女の子とが多い.赤い門がある.そんなところでしょうか.たぶん,ニーズに合っていないんだと思います.下を見続けると切りがないので,これはこの程度で.

改正のポイントは学生の所属と学位の扱い。現行でも可能な「連合大学院」は大学院博士課程に限られるうえ、学生は一つの「主幹校」に所属し、授与される学 位も主幹校のもの。このため、主幹校以外の大学には「同じ苦労をしても評価されない」との不満があった。今回の改正では、共同学部・大学院の学生は参加す る全大学に所属し、学位は各大学連名で授与する形を検討している。

ぬぁ!ついに謎が解けた!オレが何故に連合大学院所属ではなかったかがわかった!そういうことだったのか.修了間際になって,やっと自分の所属している組織を理解した.今の今まで,色々な人に尋ね続けたが,誰一人として,適切に回答をした人はいない.それは事務や教学課でもだ.運営母体が理解し得ない組織になってしまうのが,連合大学院という組織だ.ダメの固まりだ.

閑話休題.新しい共同学部・大学院の場合,学生・院生はその全ての大学に所属し,学位は連名となるらしい.これはつまり言うなれば,既存のキャンパス内に,異なる新しい大学を設置することと同義だろう.学生側はこれで問題ないだろうが,経営側はどうだろうか.教員をどのように配置するのか.共同学部ではない従来の学部はどうするのか.これは結局のところ,緩やかな統廃合を推し進めることになるのではないだろうか.

例えば,こうだ.天麩羅大学と牛丼大学と寿司大学が共同学部として,醸造工学部を設置すると仮定しよう.この醸造工学部を卒業すれば,天麩羅大学と牛丼大学と寿司大学の連名で学位が授与されることになる.それはつまり,天麩羅・牛丼・寿司大学醸造工学部と大差ないのではないだろうか.とするならば,天麩羅大学と牛丼大学と寿司大学が共同出資で,酒造大学を設立し,醸造工学部を設置することとあまり違わないように感じる.どう違うんだろうか.

システムは面白いし,学生側から見れば歓迎すべきことだと思うが,上手く行くかどうかは怪しい.連合大学院がわずか3年で統合されてしまい,結果として消滅したように,同じ末路を辿る懸念がある.「連合大学院を作ってみました!(2年後)失敗っぽいんで,やめますね!」で,経営側はいいかも知れないが,中の人間はそれでどれだけ苦労を強いられているか分かっているのか.

設置は計画的に.

asahi.com:秋田の「博士」教諭募集に全国から57人 就職難が背景 - 暮らし

妥当な線だと思う.若干名であるところから考えて,倍率20倍程度だろうか.驚くべきことではないと思うのだが・・・.秋田の教員採用倍率は20.4倍なので,特に驚くに値しないと思う.だから,

背景には博士号取得者の就職難もあるようだ。

のようなミスリーディングは如何だろうか.通常の教員採用倍率だって,20倍を超えているのだから,同水準であり,博士だからどうのこうのという論調は看過できない.

専攻分野では理学・工学系が38人、農学が16人と理系が多く、ほとんどが大学の非常勤職員や研究員、研究補佐員。年齢制限の上限(39歳)に近い30代後半が目立ち、応募書類に「これまでの研究を生かしたい」と書いた人が多かった。

30代後半の応募が多いのは見逃せない.小中学校の現場で,果たして気の利いた授業を行うことができるだろうか.教育に対する意識は大丈夫なのだろうか.「博士です!定職が見つかりません!秋田の公募は願ってもないチャンス!研究しかしてこなかったけど,応募しよう!」といった感じで応募が殺到したのであるならば,それは児童・生徒のためにはならない.秋田県教委はその辺をしっかりと見極めた上で,採用をして欲しい.きっと,初等・中等教育の現場から見れば,教育職に携わっていない博士なんて,とてもじゃないが,使い物にならないと感じるだろう.大学生に授業を教えるように,小学生には授業は教えられない.それは昨年度の経験から,身に染みて分かる.小学校ほど難しい教育現場はないと思う.オレ,「小学校の先生には絶対になれない」と思ったもん.マジで.

まとめ
優秀なだけでは小中学校の先生は務まらない.教育に対して,強い熱意が必要.小学校の先生の気苦労は見るに堪えない.現状を知ればいいのに!

関連:
秋田が博士を教員として採用の動き - 4403 is written
ヘタレ系DのBlog: 「当たり前」を当たり前にやることがすごい

この時期になると,どの大学も卒論・修論発表会が立て続けに行われるようで,各所で卒論関連エントリーが書かれています.まとめを兼ねて,エントリー化.

4年生の卒研発表を見学してきて感じたこと - yuyarinの日記
よく分かっている3年生だ.やはり,東大はスゲーなって印象だが,東大の卒研もそんなもんか,と勘ぐってしまう.たぶん,大したことはなくないと思うのだが,如何だろうか.気になるものを引用.

  • 明確な研究目的をもつ
  • 自分の研究だけでなく周辺分野について広く知識を持つ
  • 類似する研究については深く理解する
  • 「実験する時間がありませんでした」とならないように早めに研究を行う
  • 書式を守る
  • あらゆる質問を徹底的に想定し、それに対する解答をあらかじめ用意する
  • 研究内容、指導教員名、自分の名前を初めに名乗る
  • 規定時間以内に絶対に終わらせる
  • 早口にならない
  • 「このようになっています」と文字のスライドを見せない
  • 質問されても黙らない

正にその通りだ.卒研だと,研究室で代々受け継がれてきた研究をやることになるかも知れない.その時に,その研究の本質や目的・価値を微塵も理解せずに,「やれっていわれたからやりました」みたいな態度で振る舞う輩は,落としてやりたいと思う.やらされてても,やらされている感を出さずに,さも自分の成果であるかのように振る舞え.そして,これだけは決して言ってはならない.

問題点を指摘されたときに「今後の課題とさせていただきます」と返さない

「じゃぁもう1年やったらどうですか?」と言ってやりたい.卒研を終わらせてから卒業してください.

卒論発表は試験だから - 発声練習
レポートをコピペする学生の前提 - 発声練習
「どんな疑問や目標が求められているのか」という発想を壊したい - 発声練習
どうやったら卒研を失敗できるか:他人の話を聞くのをやめる - 発声練習
よい先輩とよい先生は違うみたい - 発声練習
こういう学生もいるからおもしろい - 発声練習
一連のエントリーだが,大変参考になる.「どうやったら卒研を失敗できるか」については,個別にエントリーを書いています.こういうエントリーを目にして,少しでも意識改革をしてくれたら,卒研はスムースに回るんだろうなぁ・・・.

なんとか提出 - 身・技・態(浩坊拾遺) - C3140:Qulaxics
「学問」とは「問いの立て方を学ぶ」こと - 身・技・態(浩坊拾遺) - C3140:Qulaxics

きちんと約束を守るのは当然のことです

当たり前を当たり前にやるのが社会人.その社会人になれるように育て上げるのも,大学・卒研の役目.

2007年度情報メディア学科卒業研究発表会

実際に「別にもうこれで卒業確定したんだからどーでも良いでしょ」なんて言われてイラッとしたりしたので

事実.でたらめな発表をしても,卒業が確定してしまうという,形骸化した卒研発表会が良くない.舐められている.卒業判定会議を踊らせたい.卒業させるなとは言えないが,それなりの質まで高める努力はするべきだ.能力はどうしようもないとして,意識改革はできよう.新卒採用担当の方々は良く吟味されることをお勧めいたします.売手市場に翻弄されてはなりませんぞ!このような意識の社員で満足ですか?

以下はオレが書いたエントリー群.古いのから新しいのまで,混在でお送りいたします.

ダメな論文を書く14の方法 - 4403 is written
質疑応答に上手く対処するコツ - 4403 is written
どうやったら卒研を失敗しないか - 4403 is written
ボク,コワイ? - 4403 is written
2007年度卒論第1版を校閲して - 4403 is written
ヘタレ系DのBlog: 2007年度情メ卒研発表会
ヘタレ系DのBlog: 4研究室合同中間発表会
ヘタレ系DのBlog: 2007年度情理工修論中間発表会
ヘタレ系DのBlog: レポート・論文の書き方に関する書籍
ヘタレ系DのBlog: 下らなさすぎるほど当たり前なのに,意外とみんな気付かないけど,ものすごく重要なこと
ヘタレ系DのBlog: 教育・情報システム論文執筆ワークショップ in FIT2007

どうやったら卒研を失敗できるか:他人の話を聞くのをやめる - 発声練習

素晴らしい.大変に素晴らしいエントリーだ.反面教師だ.だがしかし,これらを実践しても,卒研に失敗しない世界があることも事実であり,それが全入時代と呼ばれる昨今であろう.

それにしても,良くできたマニュアルだ.これを完全に実践できる学生が,一体何人いるだろうか.本研究室の卒研生を対象にしても,以下の2点ができていない.だから,ダメなんだ.

  1. 決して、不満そうな様子は見せないこと。

  2. 欠席の連絡は欠かさずすること。

これが出来さえすれば完璧なのに.

さて,エントリータイトルである「どうやったら卒研を失敗しないか」だ.ここまで素晴らしいエントリーなのだから,この真逆を実践すればいい.しかしながら,真逆を実践したからといって,必ずしも卒研を失敗しないとは限らない.「卒研を失敗しない=留年しない」ということだけに限定するならば,先生,先輩の指示にひたすらに従い続ければよいだろう.だがそれは,卒業が出来るということだけだ.

よく考えてみたい.この「どうやったら卒研を失敗できるか」というエントリーには,強い示唆が含まれている.

タイトルのとおりだけれども、卒業研究を華麗に失敗するための有力な方法は「他人の話を聞くのをやめる」。かなり効果的なのでお勧め。

つまり,自分1人では何をしても上手くいかないということを示唆している.これはあらゆることにおいて正しいと思う.いつだって努力するのは自分自身だが,それは自分1人の力だろうか.先人の知恵を使わなかったか?文献を当たらなかったか?

どうやったら卒研を失敗しないか.それは「協調すること」だと言いたい.協調するのであって,馴れ合ったり,依存したりするわけではない.お互いが協調しあうんだ.シナジーだ.

我々の間にはチームプレイなどという都合のよい言い訳は存在しない.必要なのは,スタンドプレーの結果として生じるチームワークだけだ.

攻殻機動隊 公安9課 荒巻大輔

だいぶ出遅れてしまったが,気になる話題なので,書いておく.秋田県が博士号取得者を対象に,公立小中高の教員として採用しようという動きがある模様.しかも,2月1日から応募が始まっている模様.〆切は15日まで.

個人的な感想を述べるならば,これはやっちゃいけないと思う.教員免許所持者を対象にするべき.教育観のない人を常勤教員として配置してはダメだと思う.せめて,非常勤にして,各校を順繰りに回る程度だろうか.小中高の教員はそんなに楽な仕事じゃないし,初等中等教育がなんたるかを知らない人を現場に配置するのは疑問を禁じ得ない.

最先端の知識を教育現場に伝えることで、児童、生徒の知的好奇心を高め、授業の質向上にもつなげる狙いだ。

秋田県:公立小、中学、高校の教員に博士号限定の特別選考 - 毎日jp(毎日新聞)

それを期待するなら,特別講師のような位置付けで,順繰りに各校を回るべきだろう.1つの学校に常勤しても,大した活躍ができないものと思われる.理科補助教員として勤務したオレの経験が,間違いないと言っている.

根岸均県教育長は「必ずしも名選手は名監督ではなく、リスクがある」などと難色を示した

さきがけonTheWeb|「博士」の教員採用 明確な位置付けが必要

正解!それは大学の現場でも同様であると思うのだが,何故に浸透しないか.学科に1人くらいは教育専任の教員が居てもいいと思うのだが,如何だろうか.そのために,大学もTT(講座制ではなく)を取り入れてみては,どうなのだろうか.ダメだろうなぁ・・・.

「高度な専門知識」によって子どもたちの知的好奇心や学習意欲を喚起し、授業の改善にもつなげようという狙いは分からないでもない。だが、目的も職務もやや抽象的で、公教育になぜ博士号取得者が必要なのか明確なビジョンがよく見えない。「高度な専門知識」を有するのは何も博士号取得者だけに限らないし、それを義務教育という段階でどう生かせるのか具体策を検討する必要もあろう。

さきがけonTheWeb|「博士」の教員採用 明確な位置付けが必要

真っ当な言い分過ぎて,博士涙目.反論できない.博士の中の人から見ても,何故に博士限定なのかは理解できない.教員として採用せずに,別の役職(教育補助員とか)で雇用して,各校に派遣するのがベストだと思うのだが・・・.

大学院に進学していない者には学部卒と大学院卒にそこまでの知識の差があるのか分からないが、県教委の言う「知的好奇心を高め、授業の質を向上」させることはできるものなのか? 現役の高校教師はこの選考の効果に対して懐疑的だ。

博士号取得者限定教員試験 懐疑の声あるも一部に朗報 - Ameba News [アメーバニュース]

何故に博士号取得者の話をしているのに,修士まで含めてしまったのだろうか.まぁいいか.誤解がないようにハッキリと述べるならば,学部卒と院卒の知識差は圧倒的であるといわざるを得ない.そして,博士となれば,それはそれは無駄知識の宝庫といわざるを得ないくらいに,圧倒的な知識量を持っている.間違いない.だが,県教委の言い分は懐疑的だ.その点は賛同する.授業の質を上げるのに,知識は必要だが,それだけでは十分ではない.博士はどれ程に活躍できるだろうか.

「まぁ、不勉強な教師が多いですから最先端知識を持つ人間が教育現場に立てば、という意図は分からなくもないですが、最先端知識だろうと授業の雑談のネタ以上の用途はないですよ。それだったら何も博士号の保有者に限定するよりも社会人に限定したほうが社会を知っている分、子供たちの役に立ちそうな気がするんですけどね。

 私も大学院を出てから教師になりましたが、今は大学院拡充政策の後だから博士号と言っても昔のような価値はないですし、数が異常に増えた博士号保有者の救済策に見えます」。

博士号取得者限定教員試験 懐疑の声あるも一部に朗報 - Ameba News [アメーバニュース]

この発言は誰の発言だ?これが教育現場の発言だとしたら,この現場は死んでいると思われる.最先端知識が初等中等教育の現場で雑談のネタにしかならないのは当たり前であって,雑談のネタすら持たない教員が教育の現場を腐らせていることに,何故気が付かない.教育で重要なのは好奇心の育成であって,そのために雑談があるんじゃないのか?そのための脇道トークじゃないのか?勉強するだけなら,塾にでも行ってろってんだ.オレの学部時代なんて,トークが面白い先生を優先的に受講していた.そのくらいに,雑談は重要だ.授業中の脇道トークを軽視する教員はダメだね.どんどん突っ込むが,博士限定がいいことだとは思わないが,社会人限定もダメだと思う.博士を入れなければ,大学院や博士課程の現状を誰が伝えるんだ?社会人は社会を知っている,博士は博士課程を知っている.その程度の差しかないのに,社会人の方が役に立つとは,技術立国日本の崩壊を象徴する発言だ.こういう無関心さが教育現場の根底を崩壊させているのだと思う.思想汚染だ.そして,最後の1文は正に無知の極みと言える.この程度の小規模な施策で,漂流する博士は全く救えない.まぁ,イマドキの現役高校教師なんて,こんなもんですかね(皮肉).

まとめ
全国に普及しそうな気がするけど,あまり期待していない.効果が出たら,スゲーって絶賛する.そんな程度の期待感.

関連:
秋田県:公立小、中学、高校の教員に博士号限定の特別選考 - 毎日jp(毎日新聞)
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さきがけonTheWeb|「博士」の教員採用 明確な位置付けが必要

asahi.com:ニセ学位、国立大医学部教授も 昇進時、経歴に採用 - 社会

そろそろ飽きてきた感があるニセ学位問題の続報.何が問題なのかよく分からなくなってきた.

 金沢大医学部保健学科で理学療法を教える男性教授は、02年にニューポート大の博士号を取得した。03年、この学位も記載した書類で選考に臨み、助教授から教授に昇進した。

 金沢大によると、教授選考では、(1)業績(2)博士の学位がある(3)教育の経験がある――の3条件を総合的に判断する。男性教授の場合、選考過程で「ニューポート大とは何だ」と話題になったが、業績が優れているため昇進が認められたという。

教授選考基準が曖昧であるため,これはこれで構わないのではないかと思われる.3条件がANDであるとは言っておらず,総合的に判断すると言っている.そのため,博士の学位がなくても,業績で昇進が認められたとすれば,何ら問題はないように思われる.ただし,3条件がANDであったのならば,大問題であると言えよう.だがしかし,「ニューポート大とは何だ」と話題になっておきながら,全く調べないというのは,選考委員会の無能さを露呈していないだろうか.調べもしていないということだから,無審査の疑いをかけられても仕方がないだろう.

 男性教授によると、ニューポート大からのダイレクトメールをきっかけに、約3年間にA4判3枚ほどのリポート約50本と博士論文を同大日本校に日本語で 提出し、博士号を取得した。

 男性教授は「日本校なので日本語の論文でも変だとは思わなかった。大学で教えるには学生に対する指導力が必要。そのために勉強して博士号を取りたかった」と話す。

日本校だから日本語の論文でも良いと感じるのは構わないのだが,A4でたった3枚をたった50本こなし,博士論文を提出するだけで博士号が取得できると思っていることに失望を禁じ得ない.博士の学位はそんなに低レベルではない.そして,学生に対する指導力と博士号がどのような関係にあるのかも分からない.業績が十分にあったことから考えれば,博士号がなくても十分な指導力はあっただろうし,昇進のために博士号を取得したと思える.優れた教育観を持っていても,博士を有していないが故に,大学教員になれない人もいるというのに・・・.

なにやら,サイバー大学が大変なことになっている模様.やっぱり,対面がいいですよね.サイバー大学は違うでしょうが,非対面の究極がディプロマミルになるんじゃないでしょうか.

文科相の諮問機関「大学設置・学校法人審議会」では一昨年秋、大学の設置を認可するにあたって、「学生本人が、ネット上の講義を受講していることをどう把握するのか」などという問題点を指摘。〈1〉入学時や受講時、単位の認定や卒業判定の際には、何らかの方法で学生が本人かどうか確認する〈2〉少なくとも入学時は学生本人と対面する――など11項目の「留意事項」を伝え、大学側は、学生に与えたICカードがなければ、ネット上で講義を閲覧できないシステムを取るなどと回答していた。
サイバー大学、本人確認せず単位…文科省が改善指導へ : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

今回の問題はICカードがどうのこうのとは関係がないのではないだろうか.問題になっているのは11項目の留意事項に沿った運用が成されていないことだと思う.特に,ここに挙げられている1と2が満たされさえしていれば,本人確認は必ず1回は行われているはずであり,それが成されていないのが今回の問題であろう.

そもそも非対面で相手を確実に確認するのは,大変に難しいと思う.授業がどのように行われているのかが分からないため,想像で書くが,カメラを付けても無駄だと思う.過去にテレビ会議システムを利用した授業を受けたことがあるが,他校舎の学生が動かなくて,静止画かと疑ってしまうほどだった.集中して講義を聴くと,意外と身動きしないようだ.カメラを設置したとしても,監視カメラのような使い方では,静止画か身動きしない人物を撮影した動画かは,判断できないのではないだろうか.

サイバー大学では引き続き、全国各地で開催している大学説明会での対面による本人確認や、ウェブカメラとインターネットを利用した本人確認、携帯電話のカメラ機能を利用した本人確認を行い、2008年1月末までにすべての在学生の本人確認を終了する予定です。
サイバー大学、在学生の本人確認について | サイバー大学

本人確認の方法がよく分からない.入学時に確認できなかったのに,入学した人物とこれから対面する人物が同一であることをどのようにして確認するのだろうか.taspoと同じ方法で騙せそうな気がする.文科相から要らぬ指導を受けないためにも,本人確認を徹底するべきでしょう.

ところで,以下は本当でしょうか.

なお、サイバー大学では、本人確認ができていない学生への単位認定は行っていません。
サイバー大学、在学生の本人確認について | サイバー大学

同ページ下に表があり,春学期入学生の126人(春学期入学の実に24%)が本人確認未済となっている.履修計画によれば,2学期制を導入しており,各学期中が前期後期と別れており,教養科目は年4回の履修機会があるようだ.だがしかし,同ページ下の表によれば,単位認定済みの学生数は0となっている.授業単位は半期毎になっているのに,単位認定は通期(年1回)なのだろうか.それとも,単位取得と単位認定は別プロセスなのだろうか.

よく分からないけど,学生も教員も大変そうです.

200801261327追記:
サイバー大に改善指導、本人確認など15項目…文科省 : ニュース : 教育 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
asahi.com:文科省、サイバー大に警告 学生本人確認めぐり - 社会

朝日は警告だといっているが,他は改善指導となっている.どっちなのかわからないが,指導が入ったことは間違いなさそう.ネット上での非対面な状況下での確かな本人確認って,どうやってやるんだろう.

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