先日の国際会議参加中に,某氏より「IEEE CSのまとめ作ってよ.フォントの埋め込み方とか」と要望されたので,忘れないうちに書いてしまう.今が暇だからって,明日も暇とは限らない.
前提:
- IEEE CSのproceedingであり(必須),
- 採録決定後のカメラレディ原稿であり(必須),
- LaTeXで原稿を作成しており(必須),
- Conference Publishing Service (CPS)を使うこと(任意).
・IEEE CS LaTeXフォーマット
ハッキリ言ってよく分からない.オレはこれがIEEE CSフォーマットだと思っている.なんつってもCPSでFormattingとして指定されているのがこれだから.しかしながら,従来のフォーマットはこれだった.ちなみに,先日のARESでは新フォーマットだと思われるCPS指定のフォーマットで投稿したところ,条件付採録のコメントに「IEEE CSフォーマットに従え.IEEEではない」と書かれた.この査読者が間違っているのか,CPS指定のフォーマットとCSproceedingのフォーマットが違うのかはハッキリとしないが,どちらを使うべきかは,Author Kitに従って欲しい.分からない時は問い合わせた方がいいと思う.何故かと言えば,新フォーマットで6ページの原稿は旧フォーマットでは8ページになるので,指定ページ数に修正するのは容易でない.正に,今回,それ,オレ.
・dvipdfmxでPDF eXpressに対抗しうるフォント埋め込み
カメラレディ投稿時にはPDF eXpressを使うことになるでしょう.これはCPSのサービスですが,恐らく使うことになると思います.このPDF eXpressってのは便利だけど曲者です.こいつは何をしてくれるかといえば,以下の通り.
IEEE PDF eXpress will:
- Help authors convert a wide range of application formats to IEEE Xplore-compatible PDFs
- Check author-created PDFs and report whether or not they are IEEE Xplore-compatible
- Provide assistance to correct problems with PDFs
- Improve the quality of your publication
- Ensure that your conference publication will be posted on IEEE Xplore in the shortest time possible
- Extend the reach and value of your conference papers
で.普通にLaTeXで書いていれば,引っかかる可能性があるのは,フォント埋め込みかページ数です.ページ数は自分で何とかするとして,うっかり忘れがちなのが,フォント埋め込みです.CPSのSubmission Stepsでは以下のように説明されています.
STEP 5: PDF eXpress™ – Online File Conversion/PDF Validation Tool
5.1) If you would like to create your own PDF file, please change the setting on your PDF distiller to insure your paper meets IEEE PDF specifications. Basic PDF distiller settings MUST be changed to:
- Optimized,
- Acrobat 4.0 compatibility,
- ALL graphics at least 300 dpi resolution, (higher if preferred)
- ALL fonts MUST be embedded and subset,
- Postscript settings DO NOT override distiller settings,
- Page size is 612.0 x 792.0 points (8.5" x 11").
IMPORTANT: Authors must check their final PDF files before submission to verify that all fonts have been properly embedded and subset. Some font manufacturers now flag their fonts to not embed. These fonts must be avoided.
要するには,フォント埋め込みが大変に重要視されています.英語圏ではない人も投稿するわけで,いわゆる欧文基本14書体以外が入り込む可能性は十分にあるので,それを排除するのと,無用なトラブルを避けるために,全フォントを埋め込んでおきなさいということです.よって,distillerを使う人は以下を読む必要はありません.distillerを使わずに,dvipdfmxだけでどげんかしようとする職人気質のためのエントリですから.
で,どうやるか.至って簡単です.
dvipdfmx がフォントを埋め込むかどうかは設定によります。
まず欧文フォントですが,通常は PostScript Level 1 での基本14書体は埋め込みません。 これらを埋め込むには,W32TeX の場合には
dvipdfmx -f dlbase14.map ファイル名
のようにして起動してください。あるいはソースに
\special{pdf:mapfile dlbase14.map}
なる special コマンドを書いておいてもよいです。
正にこの通りです.プリアンブルにspecialを書く方法は知らなかったので,今後採用したいと思います.
なお,本物のTimes系フォントを埋め込む方法もありますが,自己責任で.もっと言えば,PDF eXpressはLaTeXソース一式やPostscriptも受け付けるようなので,それらで提出するとフォントを埋め込んでくれるという噂です.試したことがないので,わかりません.
・IEEE Copyright Formを送る
eXpressが通過すると燃え尽きがちなので,忘れがちだけど,Copyrightを送って下さい.最近は電子的に手続きができるようになっていて,論文名と著者名を書くくらいだったような気がします.昔は紙媒体で,署名してFAXしなきゃいけなかったような気がします.良い時代になったものです.