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CSS2010 3E2-1を聴講して

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CSS2010の3E2-1「ネットワークセキュリティ業界における産業と学術のギャップに関する一考察」を聴講して思ったことをTwitterにつぶやいて,3E2-1後日談としてTogetterしました.しかしながら,誤字が多かったり論理が飛躍していたりで不満足なので,ここに改めて書き直します.

「学術理論における現実適用に向けた考慮の不足」において,学術側は「真っ新な世界」,産業側は「既存技術との親和性」を前提条件としている旨が説明された.学術研究においては,ある問題を解決するためのモデルを構築する際に,どうすべきかどうあるべきかを理論的に最適なものを設計する.これが「真っ新な世界」である.また,目指すものは「最高のセキュリティ」であり,現状では達成困難なものがあるならまだしも,「妥協」は許されない.対して,産業側では現状で動いているシステムに対して,新しい機能を付け加えようと考える時,そのシステムの継続可能性,運用可能性,信頼性,コストとの兼ね合いなどを考えて,総合的な親和性を重視する.そのため,既存システムとの親和性を全く考慮しない学術側の提案システムは,完全なリプレースとなるために,製品として開発・導入することが難しいという問題があり,これが産学のギャップの1つと見られている.

これは何も製品レベルでの開発に限った話ではなく,DIYプログラミングでも発生する.例えば,卒研などでプログラムを組む際に,既存モジュールや過去の資産を再利用してプログラミングするのと,真っ新から新規に書き起こすのではコストが全く違う.コストだけにとどまらず,信頼性も全く違う.既存モジュールであれば,十分にテストされており,それなりの信頼性がある.そのため,そこに手を加えない限り,その部分はデバッグの対象外にしても良いかもしれない.そのようにすれば,開発の手間を大幅に削減することができる.これは逆に考えれば,新規コードを追加した場合は十分なテストが必要であり,それが信頼性に繋がる.「ちょっと書き加えるだけだから簡単でしょ?」などという人は概ねプログラミングに理解が少ないと思われる.確かに,一見動いているかのように見えるプログラムは準備できるだろうが,それを実戦投入した際には,想定外のトラブルを引き起こすことがある.

学術的な研究であっても,情報システムとして実際に使われることを想定する場合,如何に既存システムに手を加えることなく,今までできなかったことをできるようにするのかというテクニックは1つの重要な視点である.システムの評価項目にRASISというものがある.RASISはReliability,Availability,Serviceability,Integrity,Securityのそれぞれの頭文字を取った語である.このような用語があることからわかるように,これらは研究においても実用においても評価されることが多い.つまり,実運用可能なシステムを考える場合,「Securityだけ」ではダメで,もちろん「Reliabilityだけ」でもダメで,RASISそれぞれが運用可能なレベルで維持されていることが肝要となる.そのため,RASISを考慮したシステムでなければ,実用性は無いと言える.ちなみに,個人的には最初のSはServiceabilityではなく,Sustainabilityの方がいいのではないかと思ったりしてもいる.

RASISならびに既存技術との親和性なども考慮した場合,如何に既存技術に手を加えることなく,新しい機能を付け加えるために拡張するかという話になる.ややもすれば,単なる既存技術の組み合わせになるかもしれない.それはもちろん新規性はないだろう.しかしながら,従来ではできなかったことができるようになり,その有用性が高く評価されるのであれば,十分に価値があるものであると思う.

だが,学術界の実際においては,例えば論文の査読などにおいては,「本論文で提案されている方式は~~有用性はあるものと思われるが,既存技術の組み合わせに過ぎず,新規性が認められない.よって不採録と判定する.」などと判定されることがある.もちろん学術論文においては,新規性も有用性も信頼性も重要であるが,査読基準に照らし合わせればその全てが常に必要であるとは述べられていない.これについては情報処理学会の査読基準を引用したい.

例えば、新規性と有用性の内どちらかが高く読者にとって有益と判断される場合、あるいは現時点では有用性の判定が困難で、評価を読者あるいは将来に任せた方が良いと考えられる場合には、採録とする方針でお考え下さい。

新査読基準採用のお知らせ

このように述べられており,「新規性がないからダメ」という乱暴な判定は認められていないと思われる.しかし実際には新規性は必須要件であるかのような査読結果が返されることがままあるのは如何ともし難いところである.

新規性が必須であるという立場を取り,既存技術の組み合わせによって生み出される有用性を認めないという状況を想定しよう.例えば,「あるアルゴリズムをある問題に当てはめたところ従来困難とされていたことが解決された」というような論文に対して「単なる既存技術の組み合わせ(適用)に過ぎず新規性が認められない」と言いのけられるだろうか.これは難しいと思う.この手の問題の場合,問題が解決されたことに焦点が当てられ,解決手法の新規性は強く意識されないように思われる.しかし,情報システムやセキュリティに関しては,新規性が最重要項目かのように強調され,有用性が軽視されているかのような感覚を覚えてしまうのは何故なのだろうか.

学会としても実践的な取り組みや実用可能なシステムを軽視しているわけではもちろんない.それは情報処理学会がデジタルプラクティスを創刊したことからも明らかであろう.少しずつでもこの重要性が浸透していけば,学術側と産業側のギャップも少しは埋まるのではないかと思う.

関連:
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Togetter - 「3E2-1後日談」

猫も杓子もTeX,TeX,TeX.論文を書くといったら,TeXですよね~.Wordで論文を書くなんて,無駄な労力が発生しまくりで,生産性ががた落ちです.どの辺がダメかって?まず,論理と視覚が分離できない点.章の題字はゴシックのボールドなのに,本文が明朝だったりすると,フォントを変更しなくちゃいけないですよね?ちゃんと設定すればスタイルで変更できるかもしれませんが,うっかりBSしすぎたり,Delしすぎたりすると,書式が移っていやーんな状態になります.イライラします.それから,図表の位置とか,全体のページ数とかが見えちゃって,余計なことに気を取られて,本文の執筆が一向に進みません!イライラします.もちろん,Wordで論文を書くこともできるでしょうが,その苦労ったらありゃしない.それ,TeXなら一発なのに!ってのがいっぱいです.投稿先が変わって書式を変更しなくちゃいけなくなったときの悲劇とか考えてご覧よ.

閑話休題.というわけで,論文を書くためのツールと言えば,TeXですよね.しかしながら,TeXで論文を書く場合に直面するいくつかの問題があります.まずは表の挿入でしょうか?\hlineしまくると何が何だか分からなくなります.ある意味ではHTMLのTableよりも難しいです.しかし,そんなときはExcel2LaTeXを使えばばっちりだ!そして,もう1つの問題が図の挿入です.

実のところ,TeXで1番面倒なのが図の挿入かもしれません.図としては,BMPでもJPEGでもPNGでも挿入することができますが,ラスタ画像なので,拡大縮小に弱いです.となると,ベクタ画像を挿入したくなりますが,その場合にはEPSやらPDFやらに変更する必要があります.しかし,これがなかなかの曲者なのです!

おそらく,学生に何の指示もせずに「論文を書け」というと図はパワーポイントで描くはずです.これが早くも困難です.パワーポイントはEPSを出力する能力がありません.Office 2007以降であれば,PDFでの出力が可能です.しかし,この出力されたPDFがなんだかおかしくて,少なくともIllustrator10(こんな使い方しかしていないので,買い換えるモチベーションが沸きません.最新はCS5です.)では開けません.Acrobat9では開けます.

ここでいくつかの実例をご覧に入れます.例えば,パワポでこんな図を描いたとしましょう.

100831_01.jpg

これを選択してコピペでイラレに持って行くとこうなります.

100831_02.jpg

あははは!笑うしかない.本当にどうしようもありません.むぎゃ!続いて,パワポの図をDistillerでPDFにしてAcrobatからEPSに出力してイラレで開くと,ほら,ドン!

100831_03.jpg

こりゃダメだー.というわけで,試行錯誤すると,まともなEPSをはき出すためには,パワポの機能でPDFにしてAcrobatでEPS出力します.

でも,よく思い出してみると,奥村先生の美文書第7章にも書いてあるように,PDFをそのまま読み込んでも良いように思います.そこで,色々な失敗例をご覧に入れたいと思います.文章は著作権フリーな自由文庫から,ラッセル・アインシュタイン宣言の一部を利用させていただきました.なお,PDFの挿入にはBBファイルが必要になるので,mediabb.styを使って楽しています.当然のことながら,文章と図には一切の関係がありません.あくまで出力サンプルとして見て下さい.

まずは理想型をご覧に入れましょう.パワポからPDFとして保存してAcrobatからEPS出力してイラレで微調整したEPSを図として挿入したパターンです.

100831_05.jpg

こうなって欲しいです.こうなることを目指して,色々と試してきましょう!次はパワポをPDFとして保存したやつを図として挿入してみます.

100831_04.jpg

うーん.何故か図がいない・・・.どうしてこうなった!これじゃダメだ!続いて,パワポからDistillerしてAcrobatからEPS出力したものを図として挿入してみました.

100831_06.jpg

図はいるけど余白がおかしいし,BBもおかしいっぽい.うーんうーん.こうなってしまいます.

というわけで,困難がいっぱいあるパワポからTeXへの図の挿入ですが,私は今まで以下の手順でやっていました.パワポの図をパワポの機能(Distillerを使うと上手くいかない)でPDFに出力,AcrobatからEPS出力,イラレで開いて微調整してアウトライン作成してEPSで保存,TeXでincludegraphicsしてclipする.色々と試行錯誤して,イラレで図を描いたり,TeXのpicture環境を駆使したこともありました.しかし,結局は発表に使い回せる的な意味で,パワポに戻ってきました.パワポかわいいよパワポ.

しかし,よく考えてみて下さい.研究室であれば,Microsoft Officeは入っていて,パワポは当然のように使えるでしょう.しかし,イラレやアクロバットまで入っていることは稀でしょう.さらに言えば,自宅PCにパワポはまだしも,イラレやアクロバットを導入している人はそうそう多くないと思います.なんといっても,オレが持ってないくらいだからね!そう考えると,パワポの図をイラレやアクロバット経由でTeXに挿入するという技は使いにくいです.代替手法はないのか!と思うわけです.

さぁ,前置きが長くなりましたが,いよいよ核心です.オープンソースソフトウェアであるOpenOffice.org(以下OOo)を使えばいいわけです.OOoはMicrosoft Officeとほぼ同等のことができるオープンソースソフトウェアです.オープンソースなので,無償で使うことができます.そのくせに,PDFやEPSを始め,FlashやSVGなどの多彩なフォーマットへの出力が可能であり,実にアメージングなソフトウェアです.もちろん,無償です.大事なことなので2回言いました.

100831_07.jpg

このような感じでパワポのファイルを開いて,そのまま他形式に出力できます.そんなOOoを使った場合の例を見てみましょう.まずは,パワポのファイルをOOoで開いて,PDFで出力したものを図として挿入してみました.ポイントとしては,エクスポート時のオプションとして選択範囲を選んでおくことです.さぁ,PDFの取り込みは上手くいくか!?

100831_08.jpg

大変にガッカリです.ガッカリしすぎて涙も涸れる.仕方がないので,EPSを試しましょう.

100831_09.jpg

キタコレ!これで安心だね!

まとめ:
パワポで描いた図をTeXに挿入するためには,以下の方法が確実と思われる.

  • パワポの出力機能でPDFにしてAcrobatからEPSに出力しイラレで微調整してEPSにする
  • OOoでパワポのファイルを開いて,選択範囲を選んでEPSにする

特に,OOoはオープンソースソフトウェアで無償なので,オススメです.というか,パワポを使わずに,最初からOOoで図を描けばいいのではないかと思います. 

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LaTeXにPDFを図として挿入するのは簡単 - 4403 is written
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ヘタレ系DのBlog(終了しました): Wordで論文を書くなんて異常

4月15日にJNSAにて行われた学術界とのギャップ解消検討BoFに参加してきた.主催は@akirakanaokaさん.このBoFが開催されるに至った背景は以下のように述べられています.

ネットワークセキュリティでの学術と企業(産業)側のギャップを感じている中、そこを埋める話ができないか、ということで意見交換をできる場を設けようと考えました。まずJNSAの方にご相談させていただいたところ快く承諾いただいたので、学術からの参加者を募るべくコンピュータセキュリティシンポジウム(CSS 2009)のナイトセッションでプレゼンをし、その後暗号と情報セキュリティシンポジウム (SCIS 2010)で「DoS/DDoS攻撃対策に見る学術界と産業界のギャップ」と題した発表をさせてもらいました。

JNSA 学術界とのギャップ解消検討BoF まとめ|EL TIO

要点は@akirakanaokaさんのブログにまとめられているので,そちらにお任せするとして,私視点でのまとめを簡単に.

学術側,特に大学の立場でいえば,大学教員の業績はほとんどが原著論文によって評価される.原著論文とは,査読された論文誌等に掲載された論文のことである.論文の査読においては,新規性,有効性,信頼性などの観点から評価され,認められた場合,採録となる.ここで実用性という評価は聞いたことがない.実用性がないので不採録という評価はないと思われる.また,業績評価の対象には特許も含まれる.しかしながら,多くの大学教員にとって,特許出願するよりも論文投稿する方が簡単であると思われる.それは,特許出願書類の書きにくさにあると思われるし,サーベイの難しさもそうだし,なんといっても特許出願に見合うだけのインセンティブは受けられないからだと思う.

私は工学の人間なので,物を作るとか実際に使われるとかいうことに関して,強い興味がある.というか,動くモノを研究するのが工学だと思っている.しかしながら,例えば,何かしらの研究を行い,それが実用化され,製品化されたとして,業績評価されるだろうか?評価されないことはないと思うが,論文誌採録ほどの評価は受けないのではないだろうか?メディアに取り上げられたり,プレスリリースが出たとしても,それは業績評価されるのだろうか?単純にこういうところに,インセンティブに関わる大学側の問題があるように思われる.

産業側からは重要な指摘があった.「じゃぁ売り込みに来ればいいじゃない」って.確かにその通りであって,そうすることで製品化も見込め,工学の研究者としてはうれしい限りだろう.だがしかし,産業界と学術界とのギャップはすでにそのレベルで存在していて,恐らくは学術研究の成果はすぐそのまま製品化はできない.例えば,私が個人的にものすごく信じていないものに,スパムフィルタの研究がある.ベイジアンフィルタとか,コラボレートフィルタとか,SVM学習とか,様々な手法が提案されているが,私の偏見で言うならば,インテリジェンスなシステムは精度は上がるかもしれないが,実用に耐えないと思われる.それは計算時間や計算資源の問題からくると思う.もっと言えば,大規模システムへの導入を考えた場合,電力問題に直面する可能性がある.そのため,実際に利用するには,実用性と性能を鑑みる必要性がある.学術界,特に原著論文となると,新規性を求めていくので,理論上最強を目指していくと,実用性との乖離が生じてくる.これが産業界とのギャップを深めている気がする.

つまりは,産業界に技術を売りに行くのはごもっともだが,売りに行っても買ってもらえる代物がない!というのが現状で,買ってもらえるようにしたいんだけど,産業界が求めるものが全然解らないよ!というのが学術界の本音だと思う.そこを埋めたいねというのが,このギャップ解消の根底にあると思う.学術界としても論文を世に出すだけが社会貢献・社会奉仕ではないと当然考えているだろうし,産業界に貢献できるような研究ができれば,よりよいと考えているだろうし,それは最終的にWin-Winの関係に結びつくのではないだろうか.

今回のBoFに参加して感じたことは,産業界と学術界のギャップは思いの外に深かったという点.ややもすると,ギャップ解消を望んでいるのは学術界で,産業界の大半はギャップ解消を望んでいない(解消すればいいけど別に今のままでもいいよっていう意味)可能性が高そうな気がする.しかも,学術界を大学等の高等教育研究機関に絞り込むと,先に述べたインセンティブの問題で,それほどギャップ解消に積極的ではないかもしれない.

まとめ:
最初は細々とでも,一部の学術界と一部の産業界が意見交換ができれば良いと思う.それは真面目な会でも良いだろうし,飲み会でも良いと思う.そうして段々とお互いが歩み寄っていければ良いんじゃないかと思う.そのためには,学術界からのアプローチが重要に感じた.ということで,今年の情報セキュリティEXPOに行ってみようかと思ったりもしている.

201004220119追記:
眠いけどdisられたからがんばる.

民の立場ですごい横柄な言いっぷりをすると「顧客ニーズを教えてあげる.それを解決する要素技術を研究してくれるなら,それを使ってあげる」ということになる.

Re: JNSA 学術界とのギャップ解消検討BoF:exploit&ac:So-netブログ

ボクはそれでも良いと思っていて,実用性に乏しい理論研究をするのは工学として潔しとしていません.学術界として,いわゆる金にならない研究を金になるようにするためには,そういうニーズを的確にキャッチする必要性も大事かと思います.

学の提案する方式が実用的で実装可能かどうかについては触れられていません.

Re: JNSA 学術界とのギャップ解消検討BoF:exploit&ac:So-netブログ

ボクは学の提案している内容が実装可能かどうかは非常に重要だと思っていて,産が学の提案する方式を実装しない(できない)のは,そこに実装困難性(または非実用的な要素)が含まれていて,学が如何に現実から乖離した研究をしているかということを如実に現していると思っています.

というわけで,学のヒトの気持ちを理解するために一緒にお仕事したいので○○省さん,うちらにお金下さい.うまく使いますので(オチはそこかw)

Re: JNSA 学術界とのギャップ解消検討BoF:exploit&ac:So-netブログ

正直な話,本気でこの問題に手を入れるとするならば,ビッグブラザーの力を借りるのはありだと思います.問題は,そのテコ入れをするほどの根深さがあるかと言うこと.現状で世の中が回っている現状では難しそうな気がします.しかし,蓮舫議員よろしくで,社会貢献を目に見える形で実現するなら,そういうアプローチもあるかと思います.

ボク個人の意見では,遠巻きながらも,産学がざっくばらんに分かち合える環境があればいいと思います.それ,まずは飲み会でも良いじゃないですか.

3月8日から12日まで,東京大学本郷キャンパスで行われた情報処理学会創立50周年記念全国大会に参加してきた.

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今まで過去最高の参加者数を記録してた第70回大会を大幅に超える6202名の参加者を記録した今大会は,情報処理学会創立50周年を記念するに相応しい大会となった.このエントリでは参加したイベント等の話を書きます.

まず,IPSJ72本体初日の9日に行われた,大会挨拶・表彰式・認証式から.今回IPSJ72に足を運んだ主な理由として,この認証式を見に行くことにありました.もちろん,私が認証されるわけでも,表彰されるわけでもないので,私ではない誰かのためにです.今回,予想に反して,お目当ての方以外にも多数のCSEC関係者が受賞をされていましたので,ご紹介いたします.

まず,山下記念研究賞をKDDI研究所の竹森さんが受賞されました.学会活動貢献賞を日立の寺田さん,静岡大学の西垣先生が受賞されました.また,東京工科大学の宇田先生に感謝状が贈呈されました.

そしてお目当てはフェロー認証です.CSEC主査である東海大学の菊池先生がフェローを認証されました.

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「ブログに書くんでしょ~」とか言われながら撮影した襟章です.ブログに書いてます!おめでとうございます!どんどん偉くなってしまって,遠い存在になってしまいます><.

以上の通り,多数のCSEC関係者が受賞しました.みなさま,おめでとうございます!

翌日,午前は第15イベント会場のGoogle日本語入力を支える情報処理技術を聴講してきました.定員96名の部屋に対して,事前聴講希望者は580名を超えていたので,席を確保するべく9時半頃に行ったところ,人が全然いませんでした.ということで,余裕で席がゲットできたので,tsudaりやすい席を確保して,S8とドッチーカを使ってtsudaりました.使ったTwitterクライアントはTwjournalを用いました.ログはまとめていませんが,この辺りをご参照下さい

ためになったのは,実装に対する考え方.IMEはシステムに近い部分で使われていて,落ちると困るものである.そのため,クリティカルな状況にならないように作る必要がある.というのが一般的な考え方です.Google日本語入力の考え方はその逆で,クリティカルな状況になっても大丈夫なように設計したという話でした.それはセキュリティについても同じで,脆弱性を潰すのではなく,脆弱性を突かれても影響がシステムに及ばないようにSandboxの中に閉じ込めているらしい.なるほど.これを示すデモを発表中に行っていました.内容としては4秒ごとにかな漢字変換プロセスを殺すという非常識きわまりないものw.4秒ごとにプロセスが死んでも,問題なくかな漢字変換が継続できることを示すデモだったのですが,そんな状況に陥ったことがある人はいるはずもなく,どういう挙動が正しいのかを理解できなかったようで,会場との温度差がすごかったです.ボクはわかってましたよ!tsudaりが忙しくてリアクションできませんでしたが・・・.

さて,午後のイベントまでだいぶ時間が空いているので,食事をしたり学内をうろうろしたり.10日は東大の合格発表日らしく,掲示板前はものすごい人だかりでした・・・.そんな中,@iku_bloomさんがフリペを配っているらしい情報をキャッチしたので,探してみました.

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華麗にゲット!女子にしかフリペを配っていないのに,声をかける怪しい男.通報されなくて良かったです♪

さて,本日のメインイベント,第5イベント会場での情報システム論文執筆ワークショップです.中の人として,事務的な仕事と受付番をしました.

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配付資料100部(1800枚のA4用紙)を持って,会場入りです.めちゃめちゃ重いです・・・.

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この時間帯は裏番組に初音ミクがいたり,情報処理の「夢」があったりと,超強力ラインナップだったにもかかわらず,持参した配付資料100部はなくなりました!満員御礼です!多数のご参加を頂き,誠にありがとうございます!

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夜はひょうんなことから懇親会に出席することに・・・.各賞を受賞された方々もいらっしゃっていました.なお,@ipsj72の中の人にもお会いしました.なるほどねぇという方でした.

まとめ:
来年のIPSJ73は東工大大岡山キャンパスです.近いから,来年も参加できるかな?

追い込み乙!というわけで,卒論や修論や博論を仕上げる時期だと思います.理工系の大半はLaTeXで学位論文を仕上げていることかと思います.極少数のWord使いやこだわりの一太郎派がいるかと思いますが,そんな方には無縁の話です.勝手に苦労してください.

さて,重要なお話.特に,オレが過去に書いた修論や博論のテンプレートをベースに執筆している人は要注意.おかしいなぁ・・・.オレが博論を書いていたときは問題がなかったのだが・・・.パッケージ類の説明は避けるとして,プリアンブル部は以下のように指定する.日本語しおり付きで,リンク付きのPDFが作成できます.

%\documentclass[papersize,12pt,oneside,openany]{jsbook} %片面刷り 奇偶同一デザイン
\documentclass[papersize,12pt]{jsbook} %両面刷り 右開き 右起し
\usepackage{amsmath,amssymb}
\usepackage{times}
\usepackage[dvipdfm]{graphicx}
\usepackage{cite}
\usepackage{url}
\setcounter{tocdepth}{2}
\usepackage{atbegshi}
\AtBeginShipoutFirst{\special{pdf:tounicode 90ms-RKSJ-UCS2}}
\usepackage[dvipdfm]{color}
\usepackage[%
dvipdfm,%
pdfstartview={FitH -32768},%
bookmarks=true,%
bookmarksnumbered=true,%
bookmarkstype=toc,%
colorlinks=false,%
linkbordercolor={0 1 1},%
citebordercolor={0 1 0},%
urlbordercolor={0 0 1},%
pdftitle={ふがふが法による超絶技巧組曲の研究},%
pdfsubject={ほげほげ大学 平成21年度博士論文},%
pdfauthor={ラテフ太郎},%
pdfkeywords={fugafuga, 超絶}%
]{hyperref}

ポイントはPDFしおりの文字化け対策と用紙サイズが適切に認識されない問題への対応です.PDFのしおり文字化け問題は昔のエントリーを見てください.documentclassのオプションにpapersizeを付けてやると用紙サイズがdvipsやdvioutに送られます.詳しくはマニュアルを読んでください.参考にしたのはこの情報.だいぶ昔からあった問題みたい・・・.何故,オレが博論執筆していたときは問題が具現化しなかったんだろう??

この設定で勝つる!Wordや一太郎で書かれた論文を超美文章であるLaTeXで圧倒してやるがいい!内容の責任は持てないが.

関連:
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LaTeXでTimes系フォントを埋め込む方法~グレー版 - 4403 is written
hyperref+dvipdfmxで日本語が化けるときに読むエントリ - 4403 is written

まだ夏の自由研究が終わっていない気がしますが,冬の自由研究を決めました.冬はGoogle Chromeの拡張機能を書いてみようかと思っています.HTMLとJavaScriptで書けるらしいので,まぁなんとかなるかなって.JSが心配だけど.これが上手くいった暁にはお蔵入りしているid:d:kakku22との共著論文を再投稿したいと思う.っていつの話やねん!って言われかねないw.

関連:
「HTMLとJavaScriptで作れます」、グーグルが「Chrome拡張」を解説 - ニュース:ITpro
GoogleChromeの拡張を作る上でFirefoxアドオン作者が知っておくべき10の違い【GoogleChromeでニコ動拡張を作ってみた感想】 - love_firefoxportableの日記
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夏の自由研究をまだやっている件 - 4403 is written
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LABプラス

| LABプラス

世間一般ではラブプラスという破壊力がありすぎるゲームが豚フルよりも感染拡大しているそうです.しかも,現実世界だけにとどまらず,拡張現実世界も浸食しているらしいです.さらには,総統閣下が怒り狂ってまで欲しがっています

さて,この社会現象に発展し,数多くの廃人を輩出し続けているキラーアプリが,なんと大学に移植された模様です.恐ろしいことに,その名を「LABプラス」と.

LABプラスとは研究室の教授との“日常”の交際を楽しむゲーム。

現実の日時や学会と連動し、教授と同じ時間を過ごしている感覚が持てる。

論文に対してダメだしされるスキンシップや音声での会話(説教)もある。

教授の服装は2種類、学会や研究会などのイベントは4000以上。

教授のタイプにおいても「ワンマン(同歳)」、「無能(年下)」、「天才すぎてついていけない(年上)」という様々な性格を用いている。

LABプラス

恐ろしい・・・恐ろしすぎる.こんなゲームが発売されようものなら,現実世界からB4,M1,M2が大量失踪するものと思われる.このゲームの本当に恐ろしいところは,現実世界をそのままゲームに移植したかのようなリアルな設定で,この想定を否定するのは難しいところにある.この「LABプラス」をネタとして笑えること自体が,すでに現実世界への皮肉になっている点が,末恐ろしい.

単発で書くと後でまとめるときに探さないといけないので面倒だけど,読者には関係がないので,勢いだけで書いてみる.標題は適切なものを慎重に選ぶべきだという話.

学生の発表を見ていると,とても不思議なことに面白い発表タイトルが軒を連ねる.「進捗発表」「進捗報告」「研究内容」.常々思うのだが,このような発表タイトルを付けるということは,すでにネタ発表の予感を感じざるを得ない.いつも裏切られるのだが.標題というのはその内容を表すものではなくてはならない.ということは,「進捗報告」という発表タイトルだとすれば,内容は「進捗報告」だけであって,なんら新しい発見や問題点の分析などは含まれていないと自ら認めているようなものである.もしも「進捗報告」であっても,「○○の××に与える影響について」わかったことがあって,その内容を発表するのであれば,「○○の××に与える影響について」という発表タイトルを付ければいいと思う.なぜそうしないのかが,私には微塵も理解できない.もしも,「発表は進捗報告なんだから間違ってはいない」という反論が飛んでくるようならば,着弾する前に反撃を行おう.「君は人間だ.これからは君のことを人間と呼ぼう.何も間違っていない」と.

同じことを論文に対しても言いたい.極稀に見かけるのだが,章題が「提案方式」になっているもの.私にはこれが理解できない.一般的な論文を考えるとき,標題と章構成のみで,内容がわかるように構成されているのが好ましい.ということは,章題に「提案方式」があるのならば,論文標題も「提案方式」でなくてはならない.なぜならば,論文標題が「○○を実現する××手法」だとして,章題に「提案方式」があったとして,「○○を実現する××手法」と「提案方式」が同一であることは,アウトラインからではわからない.「○○を実現する××手法」と「提案方式」が同一であることはどこで与えられるのだろうか?「常識的に考えて」はあり得ない.論文は「常識的に考えて」わかるような内容が報告されることは少ないからだ.論文を読む上で,推測が必要になるのは危険である.

アウトラインで論文が構成されることを考えると,章題は略記を用いて書くことはないはずである.とすると,「提案方式」という章題が主であり,「○○を実現する××手法」は副であることが推測される.思うには,章題に本気で「提案方式」と名付けているのであれば,論文標題も「提案方式」にすればいいと思う.そして,それができないのであれば,章題に「提案方式」があるのはおかしいと思うのだ.

まとめ:
「提案方式」は「○○を実現する××手法」を表す略記の1つに過ぎず,それが単体で踊ることはあり得ない.標題はその中身を表すように適切なものを選んで欲しい.「提案方式」という標題が不適切であることは論文という性格から考えて,明らかであると思う.同様にして,「進捗報告」という発表も意味不明.

200909280935追記:
メールの標題も同じだと思います.ケータイ世代はビジネスなメールでも標題なしで送ってきたり,いい加減だったりするから困る.

高木先生が広島まで行って,LOISに参加されて質疑をされて,WPA-TKIPが1分で破られる話について書かれています.なるほどという感じ.報道斜め読みでは「そうなの?」って思っていたけど,やっぱりそうはうまくいかないのですね.

閑話休題.WPA-TKIPの話は門外漢なので触れたくないので触れない.それよりも,その高木先生の記事で紹介されている「WPA の脆弱性の報告に関する分析 (技術編)」について述べたい.

恐ろしい闇の力による批判を恐れずにはっきりと述べるならば,このような文章を書かれると学生を指導する立場として,正しい論文の書き方を指導できなくなるのでやめていただきたい.

090927_bib01.png

WPA の脆弱性の報告に関する分析 (技術編)

これがまずい.文献引用をするときに,番号等で引用するのだが,なぜ「文献」を付けるときと付かない時を混在させるのか.「文献[6]」という書き方は理解できるが,その直後に出てくる「基本的には[1]と同一の~」とか,「[6]での新たな主張~」とか,なぜ「文献」という言葉を付けないのか.たとえば,以下のような場合であれば,番号のみの引用はあり得る.

AliceとBobらはブログ上の人格に対して,たとえその人物がおおよそリアルにおけるある人物と特定されたかのように思われても,その人物が事実を認めない限り,およそ推定に過ぎず,そのブログ執筆者がリアル人格の一人物であると特定することは不可能であると指摘している[1].また,Torrentはそのような思い込みによる全人格的攻撃はたとえ事実であったとしても,ネット社会とリアル社会を混同し,ネット上の問題をリアル上で消し去ろうとする圧倒的な権力の暴走は人権侵害でありパワーハラスメントに該当すると述べている[2].

このような引用の仕方なら番号のみでもよろしいと思う.なお,引用文はフィクションのようなものです.

このような誤った文献引用の仕方を独立行政法人という比較的権威がありそうな機関の文書として公開されると「あの有名な人たちはこうやって書いてるのに,なんでオレはダメなんですか?」って学生が言い始めるので,収拾が付かない.どうしてくれよう.

まとめ:
「文献[1]で述べられているように~」「~と述べている[1].」などの引用の仕方が正しいと思います.少なくとも,混在させると,どっちでもいいと学生が勘違いするのでやめて欲しい.あ.所属組織とかなんとかかんとか全く関係がありませんので.単なる4403っていうブログを書いているネット上の人格です.リアルにアイデンティティなんてありません.

皆様,乙です.明日はCSS2009のカメラレディ締切日ですが,順調でしょうか?ボクですか?奇跡的に書き終わっています.あざーす!気分晴れ晴れです.

というわけで,直前でわたわたするのが基本だと思うので,検索に引っかかると良いなと思って,書いておきます.主にはSEO対策です.

オプション設定時にはフォントはすべて埋め込むとしてください.最終的に埋め込まれない場合にはそのままにしてください.

コンピュータセキュリティシンポジウム2009(CSS2009)

ということなので,dvipdfmxでフォント埋め込んでいきましょう!まずは前提.Windows XP ProにW32TeX(角藤版)です.では準備.dl_ms.mapとか適当なファイル名を付けて,以下のファイルを$TEXMF-LOCAL/fonts/map/dvipdfm/baseに置きましょう.

% dl_ms.map
%
% usage:
% dvipdfm(x) -f dl_ms.map ... ...
%
% Courier
%
pcrr8r 8r ucrr8a
pcrb8r 8r ucrb8a
pcrro8r 8r ucrro8a
pcrbo8r 8r ucrbo8a
%
pcrr8rn 8r ucrr8a -e 0.85
%
% Helvetica
%
phvr8r 8r uhvr8a
phvb8r 8r uhvb8a
phvro8r 8r uhvro8a
phvbo8r 8r uhvbo8a
%
phvbon8r 8r uhvbo8a -e 0.82
phvbrn8r 8r uhvb8a -e 0.82
phvron8r 8r uhvro8a -e 0.82
phvrrn8r 8r uhvr8a -e 0.82
% Symbol
psyr none usyr
psyro none usyr -s 0.167
% Raw Symbol
rpsyr none usyr
% Times
ptmr8r 8r utmr8a
ptmb8r 8r utmb8a
ptmbi8r 8r utmbi8a
ptmri8r 8r utmri8a
% Raw Times
rptmr none utmr8a
rptmb none utmb8a
rptmbi none utmbi8a
rptmri none utmri8a
%
ptmbo8r 8r utmb8a -s 0.167
ptmro8r 8r utmr8a -s 0.167
ptmrre8r 8r utmr8a -e 1.2
ptmrrn8r 8r utmr8a -e 0.8
% ZapfDingbats
pzdr none uzdr
%
% txfonts
%
rtxptmb tx8r utmb8a
rtxptmbo tx8r utmb8a -s 0.167
rtxptmbi tx8r utmbi8a
rtxptmr tx8r utmr8a
rtxptmro tx8r utmr8a -s 0.167
rtxptmri tx8r utmri8a
rtxphvr tx8r uhvr8a
rtxphvro tx8r uhvro8a
rtxphvb tx8r uhvb8a
rtxphvbo tx8r uhvbo8a
%
% 和文フォント
%
rml H :0:msmincho
gbm H :0:msgothic
rmlv V :0:msmincho
gbmv V :0:msgothic

ok?ついてきてる?そんだら,後はこれを利用して,フォント埋め込みだ!

>platex hoge.tex
>dvipdfmx -f dl_ms.map hoge.dvi

おわり.ちゃんと埋め込めたかな?以前,specialを書く方法を紹介したんですが,何故か私の環境では上手く埋め込めなくて,gothicbbb-mediumが残るんですよね・・・.英文なら良いんですが・・・.よく分かりません.上記の-fオプションは埋め込めます.よく分かりません.

さぁ,最後の追い込みもがんばろう!えいおー!

IPSJ研究報告のオンライン化については,再三書いているので,もう良いかなっていうところですが,最後の確認事項が確認されました.何かって,IPSJは冊子体を廃止しましたが,IEICEと共催(連催?)の時に,IEICEは冊子体が作成されるので,どうなんだろうね?っていう問題です.これは現在開催中のCSEC46で明らかになりました.

ISECは縦フォーマット,CSECは横フォーマットでPDF入稿したので,紙にしたときどうなるのか気になる
方が多いようなのでとりあえず速報.ひねりなく事前にPDF公開されていたものをそのまま印刷しただけの
ものでした.こんな感じ.

[CSEC-46] 駅ちかランチと予稿集:exploit&ac:So-net blog

acさんからの報告によると,ただ単純に両方を印刷して,綴じただけみたいです.うーん.見にくそう・・・.acさん,秋田からのご報告,ありがとうございました.

全く気づいていませんでしたが,言われてみれば確かにそうだったので.4月からIPSJの研究報告がオンライン化されています.6月になりましたので,各研究会とも1度くらいは開催された頃かと思います.上手くいっていますでしょうか.今日は当日資料について書いてみたいと思います.

研究会員の方は1週間前から当日用サイトで当日資料をダウンロードできるようになっています.非会員の方は研究会当日に受付で資料閲覧のためのURLなどがもらえて,そこからダウンロードできます.研究会によっては,USBメモリで配布しているかもしれません.まぁ,とにかく,研究会参加者は当日までになんらかの方法で資料を手に入れることができます.

しかし,この資料は電子図書館の資料とは別のものです.命名規則が異なっていることは以前に指摘していますが,それどころではない違いがありました.この当日資料は,PDFのセキュリティが全くかけられていません.

090608_ipsj01.png

コピペし放題です.これに対して,電子図書館からダウンロードした同じ論文はどうでしょうか.

090608_ipsj02.png

こっちは従来通りのセキュリティがかけられています.このように,当日資料と電子図書館の資料は全く別のファイルです.

さて,何故このようになっているかと.要約しますと,「当日資料を見ながら書き込みたい」「1発表会分をまとめて1ファイルにしたい」などの要望に応えるためだそうです.PDFに書き込むという発想は思いつかなかった.Acrobatだとそういうことができるのかな?使い方がよく分かっていない(Distillerと黒塗りしか使ってない・・・)ので・・・.

まとめ:
保存をしておくなら,当日資料が良いかなっと.

IPSJのオンライン化云々の話ですが,昨晩メッセをしていて,「あーたしかにねぇ」と思った内容があったので,備忘録.

オンライン化されて,論文誌と研究報告はA4横向き2段組のフォーマットに変更されており,PC上で閲覧しやすくなりました.ところで,これって,紙媒体の別刷はどうなるんでしょうか?

Q3.論文の購読者が、紙媒体で購読したい、または1論文単位で購読したい場合は、どのようにしたら良いですか?

⇒A3.紙媒体が必要な場合、1論文単位で購読したい場合は、別途、本会電子図書館(BookPark)のオンデマンドサービスによりご購入いただくことが可能ですので、ご利用ください。

論文誌の全面オンライン化

ということで,紙媒体の別刷はオンデマンドサービスから購入することができます.420円くらいです.購入できるのはいいんですが,どういう印刷物が手に入るのでしょうか?やっぱり,横向きなんですよね?どの向きに閉じられるんでしょうか?横でしょうか?縦でしょうか?ちょっと気になります.A4横向きだと,PC上では見やすくても,印刷してしまうと必ずしも見やすくはなさそうです.うーん.

これはこれでいいんですが,問題になるのは,他学会との共催(連催?)の場合です.IPSJはこのフォーマットで統一されたのでよいのですが,他学会は異なる(つまりは,A4縦)フォーマットを利用しているでしょう.なんだか,ひっちゃかめっちゃかになりそうな・・・.てかてか,IPSJはオンライン化して冊子体を廃止しましたが,他学会は冊子体を廃止していないので,冊子を配るんだと思いますが,やっぱり縦横混在なんでしょうか?気になります.

関連:
IPSJのオンライン化について - 4403 is written
IPSJ研究報告のオンライン化について - 4403 is written

IPSJのオンライン化がぐいぐい推進されている話は,すでに何回か取り上げているのだが,IEICEでも技報のオンライン化が始まったようだ(リンク先はPDF).ただし,通信ソサイエティに限る.個人的な印象では,研究会発表申し込みや論文投稿などでは,IEICEの方が進んでいるイメージだったのだが,研究会報告等のオンライン化に関しては,IPSJが先んじているようだ.

ちなみに,このシステムは大阪市立大学の学生3名が作成したようだ.学生が6ヶ月で作ったシステムにしては,素晴らしい出来だと言える.それに対して,IPSJは・・・.もっとがんばって欲しいと思う.

んで,ちらっと使って見たんだが,特に不満は見あたらない.良くできていると思う.また,アンケートがあったので,いろいろと答えておいた.

ところで,IPSJもIEICEもJSAIも,どれも同じだけど,CiNiiに丸投げしちゃうっていう選択肢はないのだろうか・・・.CiNiiは結構使いやすいし,論文リポジトリとして考えれば集めてあった方がいいと思う.いや,Linked Data的な考え方をすれば,CiNiiに実体がある必要はなくて,リンクだけがあれば十分と言えば十分だけど・・・.

関連:
IPSJのオンライン化について - 4403 is written
情報処理学会論文誌等を執筆時にdvipdfmxでlandscapeしなくて困った人が読むエントリ - 4403 is written
IPSJ研究報告のオンライン化について - 4403 is written
IPSJ研究報告のオンライン化について~論文作成編 - 4403 is written

投稿用原稿と製版用原稿,つまりはdraftオプションを付けるか付けないかで,版面がかなり違うので,Picture環境を使っているとリサイズされて,涙目.図から文字がはみ出まくり.投稿用と製版用で2つ描かなきゃいけないのか!?epsにしてしまおうか・・・orz.

たまたま後輩の指導にと思い訪れたら今日改定されていました.ナイス発見.

2009-04-27 - naoeの日記

ナイス発見.差分をとってみたけど,マイナーチェンジっぽい.大幅に変わっているのは,「長文向きDTPソフトについて」と「研究のネタが思い浮かばない場合・・・」の「Q:卒論はなぜ失敗するのですか?」以降.「長文向きDTPソフトについて」ではWeb上のオフィスソフトという説明が付け加えられている.

ちなみに,細かい修正がちょこちょことありますが,「なるほど」という修正がされています.

関連:
東大で学んだ卒論の書き方★論文の書き方

単なる備忘録的なぼやきです.

CSEC45の原稿依頼には,原稿依頼等はここを見ろと示されている.これは2009年3月2日時点のものなので,依頼時期から考えて,まぁそうかなって思う.でも,このフォーマットがおかしくて,LaTeXだと著者所属のフットノートが右下にでるのに,Wordだと左下にでている.こういう書式不統一は嫌いです.だから,LaTeXでいいのに!

しかしながら,メールの案内ではなく,普通に研究報告原稿依頼についてを辿ると,別のページに繋がって,こっちは2009年4月1日が最終更新になっており,論文作成ガイドは第2.0版となっており,著者所属は右下に出るようになっている.

はてさて,オンライン化の混乱はまだまだ続きそうです.いや,LaTeXで書き直せばよいのだが・・・.言ってみるか.

200904072006追記:
更新のタイミングで,古いアドレスを案内してしまったそうです.新しい研究報告原稿依頼についてをご参照の上,統一された書式で投稿しましょう!ここを見ている多くの方はLaTeXで書かれていると思いますが.

FI94/DD70

| FI94/DD70

3月25日に白百合女子大学で開催されたFI94/DD70に参加してきた.今回も共著者として保護者引率してきた.

P1020027.jpg

白百合女子大学,ここが乙女の園ですね?わかります.残念ながら春休み中で,学生はほとんどいませんでしたが・・・.後に,これが大問題を引き起こすわけですが,それはまだ後の話.

さて,今回のFI94/DD70は来年度からの研究報告オンライン化に伴い,オンライン化試行が行われました.私はFIもDDも非会員なので,当日になるまで資料を手に入れることができませんでした.もちろん,会員の方は電子図書館から入手可能でしたし,非会員でも各研究報告を個別に購入すれば,入手は可能でした.当日の会場では無線LANが準備されておらず,電源も十分ではなかったので,IPSJの目論見による研究報告オンライン化の実現は困難であると言えると思います.なお,電子化資料は受付に置いてあった3本のUSBメモリによって,入手可能でした.

このUSBメモリから入手した電子化資料は,どうも電子図書館のものとは異なるように思えます.中身は同じかもしれませんが,非会員なので,購入しないと検証できないので・・・ちょっと控えたいです.どう違うかというと,命名規則が異なっています.USBメモリからコピーした電子化資料は以下のようなもの.

090326_fi94dd70_01.png

おそらく,電子図書館の命名規則に従うと,これはIPSJ-FI09094002.pdf(FI研究会の場合)になると思う.何故に,命名規則が異なっているのかはわかりませんが,違っています.なお,USBメモリの内容物は以下のようなもの.

090326_fi94dd70_02.png

で,このindex.htmlを開くと以下のページが見れる.

090326_fi94dd70_03.png

アクセシビリティ抜群です.一括ダウンロードもできて,個別のファイルにもアクセス可能になっています.以前,IPSJに対して行った要望は,電子図書館をまさにこのようにして欲しいという要望でした.なので,電子図書館をこのようにして頂けると,利便性が高まって,テラ便利です.なお,当日,会場受付で頂いた「資料閲覧について」という資料によりますと,このUSBメモリに入っていたものと全く同じものが4月1日まで,情報処理学会のWeb上で閲覧可能になっています.もちろん,パスワードが掛かっていますので,非会員の参加者向けということだと思いますが.

なお,もしも電子図書館がこのように進化するとなると,是非とも,聴講参加予定の非会員が事前に資料を入手できるように,オンラインで事前聴講参加登録が行えるようにして頂きたいと思います.研究会の参加費は事実上,資料代のようなので,事前徴収でも問題がないように思えます.

で,内容についても少し触れたいんですが,残念なことに午前中しか聴講できませんでした.午後から卒業式だったもので・・・.なので,前半4件分のみの感想となります.FI研究会の聴講は,今回で2回目となるのですが,議論(コメントも含む)が大変に活発です.特に,今回は学生チャレンジ特集ということで,学生・院生の発表に対して,活発な意見交換がなされると,大変に役立つと思います.問題なのは,発表している学生は3月で卒業してしまうのではないかという懸念.頂いたコメントを上手くフィードバックできるのだろうか・・・.それはウチも同じか.

さて,午前のセッションが終わったので,大学に戻るわけですが,せっかくの女子大ですから,学食に行ってみたくなるわけです.女子大のオシャレなランチを食べてみたいわけです.誰もが考えることです.簡単なことです.学食見学は大学で行われる会議の時は,基本中の基本です.だがしかし,女子大はそんなに甘くなかった.学食が男子禁制だとか,「男に食わせるタンメンはねー!」とか,そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ. もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ.「春休みのため,学食はお休みです」ってオイ!!!教職員に優しくない学食運営ですねorz.

まとめ:
今回はFI/DDの2研究会合同だった割には,発表件数が少ないように感じました.ただ,学生チャレンジ特集なので,非常に面白い発表が聞けて良かったです.プロトタイプ実装やデモのワクワク感は異常.

先日の国際会議参加中に,某氏より「IEEE CSのまとめ作ってよ.フォントの埋め込み方とか」と要望されたので,忘れないうちに書いてしまう.今が暇だからって,明日も暇とは限らない.

前提:

  • IEEE CSのproceedingであり(必須),
  • 採録決定後のカメラレディ原稿であり(必須),
  • LaTeXで原稿を作成しており(必須),
  • Conference Publishing Service (CPS)を使うこと(任意).

IEEE CS LaTeXフォーマット
ハッキリ言ってよく分からない.オレはこれがIEEE CSフォーマットだと思っている.なんつってもCPSでFormattingとして指定されているのがこれだから.しかしながら,従来のフォーマットはこれだった.ちなみに,先日のARESでは新フォーマットだと思われるCPS指定のフォーマットで投稿したところ,条件付採録のコメントに「IEEE CSフォーマットに従え.IEEEではない」と書かれた.この査読者が間違っているのか,CPS指定のフォーマットとCSproceedingのフォーマットが違うのかはハッキリとしないが,どちらを使うべきかは,Author Kitに従って欲しい.分からない時は問い合わせた方がいいと思う.何故かと言えば,新フォーマットで6ページの原稿は旧フォーマットでは8ページになるので,指定ページ数に修正するのは容易でない.正に,今回,それ,オレ.

dvipdfmxでPDF eXpressに対抗しうるフォント埋め込み
カメラレディ投稿時にはPDF eXpressを使うことになるでしょう.これはCPSのサービスですが,恐らく使うことになると思います.このPDF eXpressってのは便利だけど曲者です.こいつは何をしてくれるかといえば,以下の通り.

IEEE PDF eXpress will:

  • Help authors convert a wide range of application formats to IEEE Xplore-compatible PDFs
  • Check author-created PDFs and report whether or not they are IEEE Xplore-compatible
  • Provide assistance to correct problems with PDFs
  • Improve the quality of your publication
  • Ensure that your conference publication will be posted on IEEE Xplore in the shortest time possible
  • Extend the reach and value of your conference papers

Conference Publishing Services (CPS) - PDF eXpress

で.普通にLaTeXで書いていれば,引っかかる可能性があるのは,フォント埋め込みかページ数です.ページ数は自分で何とかするとして,うっかり忘れがちなのが,フォント埋め込みです.CPSのSubmission Stepsでは以下のように説明されています.

STEP 5: PDF eXpress™ – Online File Conversion/PDF Validation Tool

5.1) If you would like to create your own PDF file, please change the setting on your PDF distiller to insure your paper meets IEEE PDF specifications. Basic PDF distiller settings MUST be changed to:

  • Optimized,
  • Acrobat 4.0 compatibility,
  • ALL graphics at least 300 dpi resolution, (higher if preferred)
  • ALL fonts MUST be embedded and subset,
  • Postscript settings DO NOT override distiller settings,
  • Page size is 612.0 x 792.0 points (8.5" x 11").

IMPORTANT: Authors must check their final PDF files before submission to verify that all fonts have been properly embedded and subset. Some font manufacturers now flag their fonts to not embed. These fonts must be avoided.

Conference Publishing Services (CPS) - Submission Steps

要するには,フォント埋め込みが大変に重要視されています.英語圏ではない人も投稿するわけで,いわゆる欧文基本14書体以外が入り込む可能性は十分にあるので,それを排除するのと,無用なトラブルを避けるために,全フォントを埋め込んでおきなさいということです.よって,distillerを使う人は以下を読む必要はありません.distillerを使わずに,dvipdfmxだけでどげんかしようとする職人気質のためのエントリですから.

で,どうやるか.至って簡単です.

dvipdfmx がフォントを埋め込むかどうかは設定によります。

まず欧文フォントですが,通常は PostScript Level 1 での基本14書体は埋め込みません。 これらを埋め込むには,W32TeX の場合には

dvipdfmx -f dlbase14.map ファイル名

のようにして起動してください。あるいはソースに

\special{pdf:mapfile dlbase14.map}

なる special コマンドを書いておいてもよいです。

PDFの作り方 - TeX Wiki

正にこの通りです.プリアンブルにspecialを書く方法は知らなかったので,今後採用したいと思います.

なお,本物のTimes系フォントを埋め込む方法もありますが,自己責任で.もっと言えば,PDF eXpressはLaTeXソース一式やPostscriptも受け付けるようなので,それらで提出するとフォントを埋め込んでくれるという噂です.試したことがないので,わかりません.

IEEE Copyright Formを送る
eXpressが通過すると燃え尽きがちなので,忘れがちだけど,Copyrightを送って下さい.最近は電子的に手続きができるようになっていて,論文名と著者名を書くくらいだったような気がします.昔は紙媒体で,署名してFAXしなきゃいけなかったような気がします.良い時代になったものです.

宣伝した方がいいらしいので,IPSJ-IS-MLから転載.

★第5回 IS論文執筆ワークショップの受講者募集について

毎年恒例となった「情報システム(IS)」論文執筆ワークショップを本年も開催いたします!特集号( 「身近になる情報システム-理論と実践-」)へ論文投稿(5月18日投稿締め切り)を検討されている方や,開発された情報システムを,論文としてまとめて論文投稿したいと考えておられる方は,ぜひ参加をご検討下さい.また,情報システム分野の論文は,他分野を比べると,論文の構成や評価のまとめ方が分かりにくいと感じておられる方も,ぜひ参加して,講師に直接質問を投げかけていただければ幸いです.

日時:平成21年4月4日(土) 13:00~16:50(受付:12:30~)

会場:同志社大学 東京オフィス 大セミナールーム
http://www.doshisha.ac.jp/information/facility/tokyo_o/
http://www.doshisha.ac.jp/access/tokyo_access.html

参加費:無料

定員:50名

申込締切:平成21年4月3日(金)

照会先を書くのはまずそうなので,ご興味のある方はコメント欄かメールでご連絡下さい.詳しくはIS研究会のサイトをご覧下さい.そっちに出てないから,ここに書いているという話もありますが.

関連:
[案内]第4回IS論文執筆ワークショップ - 4403 is written
ヘタレ系DのBlog(終了しました): 教育・情報システム論文執筆ワークショップ in FIT2007
ヘタレ系DのBlog(終了しました): 第3回 IS論文執筆ワークショップ

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