私大生の2割は日本語力が中学生以下というエントリーに次年度先生候補の方から長文コメントを頂きました.大変に興味深いコメントなので,個別にエントリーを立ててお返事します.
遅ればせながらヘタレ系Dの12/22の記事の秋田のTTと厚木市のTTについて私の意見を。
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まず、厚木市のTTですが利点と欠点を。利点は、
・教師の側から見て授業がやりやすい。
・生徒が自分の能力に合った授業を受けられるので理解がしやすい。
・昇格・降格があるのでモチベーションの向上につながる。
などだと思います。反面、欠点は、
・モチベーションの向上につながるのは、中間層より上の層であり、習熟度の低い児童は2、3回「もう一歩クラス」が続いてしまうとあきらめの気持ちが生じてしまう。
ここで注意すべきキーワードは「モチベーション」である.これは大変に重要なことである.中学生のモチベーションは高校受験,高校生のモチベーションは大学受験などと,何かしらの目標が見えていないとモチベーションは維持しづらい.では,小学生のモチベーションはどのようにして維持するのだろうか.一体,何を目標にモチベーションを持つのだろうか.この動機付けが大変に難しいため,授業に興味が持てるようにし向けることが必要不可欠となる.あれやこれやと手を替え品を替え・・・.小学校教員の苦労ったら,想像を絶するものです.
閑話休題.オレが知る限りの厚木市のTTについてもう少し情報を出しておく.そもそもTT要員として雇われたわけではないので,TTの授業に参加したのは数えるくらいで,実態は実はよく分かっていない.厚木市全体で同じやり方なのか,あの小学校だけなのか.そのため,オレの目に見えていたのは,良い部分だけで,指摘の通りの欠点がある可能性は捨てきれない.ただ,TTで参加したときは2学期の終盤だったのだが,諦め感が充満している雰囲気はなかった.恐らくは先生が授業のやり方を相当に工夫している結果であろうと思われます.小学校の内は「授業は楽しく」でいいと思います.そのくらいが「ゆとり」だと思います.
私の今までの経験から言うと、この途中で挫折してしまう人の割合が、年々増加している気がします。小学校4年で挫折してしまうので、小5、小6になってもはじめから、自分にはわからない、という意識で授業に臨むため、集中できない、勉強しない、といった児童・生徒が多い印象を受けます。
昨年度に勤務していた小学校では4年生にのみクラス分け型のTTが行われていた.さらに,5,6年生にTTの授業はなかったように思われた.その点で,ご指摘にあるような対策が施されていた可能性は高いと思われる.ただ,高学年になると学力差というか能力差というか・・・顕著になってきて,気をつけないと挫折状態になってしまうでしょう.確かに,この時期は大切な時期だと思います.
次に、秋田のTTの利点ですが、
・同じ教室内にいろいろな生徒がいるので、劣等感が生まれにくい。
・問題につまずいたときに、巡回の先生にすぐ質問ができるため、また、巡回の先生が気づいてくれるため、わからないことをそのままにする事が減る。
一方、欠点は、
・わからないことをすぐに教えてしまうと、考える力が付かなくなるため、巡回の教師の匙加減が非常に重要。
欠点としてさじ加減が挙げられていますが,これを欠点として挙げるのは酷なのでは.確かにその通りではあるのだが,これはTTに限った問題ではなく,あらゆる面に対して同じだと思う.よって,教師力に依存するところが多いと思う.ところで,オレにはどうしても理解しづらいことがある.ここで利点に挙げられている2点目だ.この後のコメントはこのように続いている.
集中力の問題を上げられてましたが、私のこれまでの個別指導塾での経験からいうと、周りから別の話が聞こえてきても、集中力にはそんなに影響が出ません。彼らは自分に関係ない話をシャットアウトする能力はとても優れています。逆に同じレベルの生徒が近い空間にいて、自分と同じような説明をされているほうが、集中できないようです。
オレにはどうしてもこれが理解できない.TAの時もそうなのだが,先生の説明中に教室内を巡回することは控えている.それは集中力低下もあるし,先生の話を聞き逃してしまうのではないかという懸念を持っているからだ.しかしながら,ご指摘に依れば,集中力に影響することは少ないそうだ.そうなのか.これについてはもう少し勉強する必要があるようだ.追加情報があったら,是非コメント下さい.
私がこの記事から考える、秋田の教育の最大のポイントは、6行目の「『家庭学習ノート』などにより、学習を努力した結果が正当な評価を受けることがシステムとして確立していること」だと思います。
Yes, that's right! 大変に重要なことです.これが難しいから,教員は苦しむんです.講義に関する大変素晴らしい言葉があるので,ここで引用.
レポート・論文の書き方入門: 河野 哲也 p.7 l.6-8
講義は,全員(all)に向かってなされているのではなく,各員(everyone)に向けられているのだ,と考えるべきです.
教師は常に児童・生徒1人1人を見ていなくてはなりません.そして,多くの先生はそれを行っていますが,その現状がなかなか児童・生徒に伝わらないのが実態です.じゃぁ,それをどのようにして伝えるのか.その方法の1つが「家庭学習ノート」であると言えよう.勉強を介した先生と児童・生徒の交換日記だと思えばいい.教師はね,小テストの採点が面倒だとか,出席を付けるのが大変だから電子化とか,手抜きをしてはいけないんだよ.そういう些細なことが実はすごく重要なんだと思う.だから,出席調査は始業直後の小テストで行えば良いんだ.前からそう言ってるじゃないか!むぎゃ!
学校・塾がどんなに良い授業をしていても、家庭学習の習慣が身に付かなければ、中学・高校と学習内容が高度になるにつれて対応できなくなります。一番上の棒グラフの差が学力の差に直結しているのではないでしょうか。毎回レスポンスを返す、というのは教師にとって非常に大変な作業になりますので、「教師の質」というのも多分に影響があると思います。
大変綺麗にまとまりました.完全に同意です.オレのブログにレスがあると大変にモチベーションがゴリゴリとなりますので,皆様も恥ずかしがらずにコメントしてください.是非.