スクールカウンセリング('10) 第2回

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第2回は「小学校のスクールカウンセリングⅠ~いじめ」です.早くも核心に切り込んでいく模様です.なお,第7回には「大学におけるカウンセリング(学生相談)」が予定されているので,興味深いです.

2007年に文部科学省は「いじめ」を以下のように定義した

当該児童生徒が,一定の人間関係のあるものから,心理的・物理的な攻撃を受けたことにより精神的な苦痛を感じているもの

スクールカウンセリング('10) p.26

著者らは調査結果から,子どもたちに通じる言葉(定義)として「いじめ」を以下のように定義した.

「よってたかって,しつこく繰り返せば“いじめ”」

「ただの冗談やふざけのつもりでも,相手が嫌がっていると分かって,そこで止めれば“いじめ”ではないし,それでも繰り返すなら,それは“いじめ”」

スクールカウンセリング ('10) p.27

小学校低学年では乱暴な振る舞いや,ちょっとした意地悪が「いじめ」と受け取られやすい.小学校中学年では学力や体力の差が顕著になる時期でもあり,ストレスや劣等感からの攻撃行動が生じやすい.また,男子の集団が特定の女子に身体的暴力をしたり,女子の集団が特定の男子を非難の対象にしたりする「いじめ」が見られる.小学校高学年ではグループから排除される不安が強くなり,それを回避しようと,特定の人を排除することで,自分の立場の安全を図る動きが生じる.また,「あの子によくないところがあるから,教えてあげているだけ」というような合理化がされることが少なくなく,子どもたちなりの指導であって,「いじめ」ではないという弁明も行われる.中学生では「いじめ」にゲームの感覚が加わることで,凄惨な事態が発生しやすい.加えて,金銭などをめぐる社会的能力の発達や,腕力などの身体的能力の発達に伴って,恐喝や暴行などの犯罪行為も生じる.

イギリスの児童精神科医のウィニコットは「ひとりでいられる能力」を人の基本的能力と位置づけている(参考文献).人は他者と一緒にいることで,ひとりでいられるようになり,ひとりでいられることによって,他者と一緒にいられるようになる.

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