スクールカウンセリング('10) 第6回と第7回

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頑張って消化していかないと詰まる一方.スクールカウンセリングは適当に進めているけど,心理カウンセリング序説('09)に至っては,通し聴きしただけで,全然要点をつかんでいない.どう考えても時間が足りない.

第6回は「高等学校のスクールカウンセリング」です.題材として,クライアントは性的逸脱行動やリストカットといった問題行動を抱えるJK18歳です.放送教材の俳優さんがケバかったのは誤差の範囲で.それはそれとして,放送教材の寸劇は誰が作っているんだろう?収録が上手くいっていないとか,前回もカウンセラーの服装にダメ出ししてたし,何故に教材内でそんなこと揉めてるの・・・.事前に確認してないのかなぁ・・・.

第6回で印象的だったのは以下のエピソード.

2学期が始まった9月,交際相手から別れを告げられ,そのことを同姓の友達からからかわれたことがきっかけで,学校で突発的にリストカットをしてしまった.

スクールカウンセリング('10) p.79

精神的に不安定だったとしても,こういうことが起こりえる女子グループって怖いです.リストカットっていう自傷行為はなんで流行ったんだろう?死ねないのに陰惨だからかな?

この高校生の事例では,内界を言語化することの難しさが指摘されている.クライアントが入室してから,しばらく何も話そうとしない様が描かれており,自分の問題を言葉に出来ない様子が見て取れる.カウンセラーとして聞くことが大事であるし,「沈黙は雄弁,饒舌は防衛」であることを強く意識しておく必要がある.

第7回は「大学におけるカウンセリング(学生相談)」です.この教材で取り上げられた事例は東大の事例のようだ.東大はアカハラが多そうな気がします.しかも,アカハラだと自覚していなさそうな気がします.「このぐらいできて当たり前だろ!?」みたいな.しかも,事例が東大のものであるというのは最後の最後で分かったんですが,その前から「この教授は研究者であって教育者ではないんだろうな」と感じていた.そのくらいに東大っぽいエピソードだった.

学生相談を担当するカウンセラーの仕事は,本質的には,小・中・高等学校のスクールカウンセラーと同じであるが,来談者数で言えば,学生が大半で教員や保護者は少数にとどまる大学が多いだろう.(中略)研究分野や所属の変更の問題,学業の問題,留学や休学の問題,対人関係の問題,就職の問題,心身の不調,カルトやストーカーから逃れたいなどの訴えがある.

スクールカウンセリング('10) p.86

強調部分は私によります.やはり大学教員は教育者としての自覚が足りないように思う.博士という学位を持っている所為かどうか分からないが,カウンセラーに頼ることなく,自分で問題を解決しようとする傾向がある.しかも,学生の問題に真摯に向き合わなかったり,向き合ったとしても適切な対応をしなかったりする.博士だろうが,一線級の研究者だろうが,教授だろうが関係なく,できないことはできないと認め,適切な解決手段を選択したい.

第7回のエピソードでは,クライアントは電子工学科の男子4年生である.実にリアリティにあふれている.研究内容を難解に感じてゼミを欠席したり,教授から示された研究テーマの内容が理解できずに意欲が減退したり,ゼミを休んで教授に叱責を受けたり・・・.よくある光景です.よくある光景でありながら,これが題材に挙げられるということは,このような状況下で精神的に病んでしまうわけで,この程度で十分にアカハラになり得るという示唆を含んでいるように思える.この際,クライアントをカウンセラーに向かわせたのは助教であると述べられている.この助教はかなり教育に厚い人物であるように描かれているが,その反面,教授は一体何をしていたのかと思う.この事例を見ても,教授は研究者であり,教育者として描かれていない.教授は教育の現場で一体何をしているのだろうか.

学業成績や研究の進展が思わしくなかったので,権威的な教授からの叱責は,恐怖感や劣等感を喚起しやすかっただろう.

スクールカウンセリング('10) p.91

教授という存在は学生に取ってみれば,人生を左右する力(単位を出す出さない的な意味で)を持った巨大な権力的存在であり,畏怖する存在になりかねない.そこにありながらことさらに,ゼミや研究活動などで,叱責をされようものなら,その恐怖感は計り知れないだろう.テキストにもあるように,アカハラが併発していた場合,クライアントを立ち直らせることは困難であっただろう.大学教員は教育者として振る舞うに当たって,カウンセリングを利用するなり,連携するなり,アカハラに最大限の注意を払うなりしなくては,大学生の精神は正常に保たれないだろうと思う.

大学教員として教育学を学ぶことはやはり大事そうだ.

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