スクールカウンセリング('10) 第12回と第13回

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第12回は「医療との連携」です.医療現場の実際として,千葉大学病院の状況が紹介されていました.

「こどもの心診療部」に来院する理由の「主訴」を見ると,不登校,発達の問題,身体症状がそれぞれおおよそ2割を占めている.「診断」で見ると,適応障害や身体表現性障害がおよそ3割,発達障害がおよそ3割となっている.

「適応障害」とは,はっきりとしたストレス状況に反応して,情緒面や行動面に症状が現れる場合に診断される状態である.

「身体表現性障害」とは,心に何らかの負荷がかかっている状況で,身体の症状としてそれが現れてくる状態をいう.

スクールカウンセリング('10) p.142

この他に,児童期から思春期にかけて注意が必要な精神疾患として,以下があげられる.

「統合失調症」は,思春期に発症する疾患の中でも特に注意が必要である.総人口の1%弱が一生のうちに発症する比較的頻度の高い精神疾患で,幻覚や妄想のため,それまでの当たり前だった現実が当たり前でなくなり,強い不安,恐怖をいだく.

「気分障害」は大きく,うつ病と双極性障害(躁鬱病)に分けられる.

うつ病は,気分の落ち込み,気力の低下,何事も楽しめなくなる,集中力や思考力,記憶力が低下する,食欲が落ちる,よく眠れないといった症状を呈し,もともと一所懸命にがんばりすぎる性格と,環境からの持続的な負荷が重なって発症することが多い病態である.

双極性障害は,うつの波と躁の波が数週間から数か月単位で繰り返し現れてくる病態である.

スクールカウンセリング('10) p.143

他にも,摂食障害(拒食症と過食症),解離性障害,強迫性障害,外傷性障害,対人恐怖症などが説明されている.

発達障害はいわゆる「知的障害」といわれる全般的な知能発達障害と,対人関係能力の障害が著明で言語発達の障害も伴う「自閉症」が主である.

しかし近年,全体的知能検査では検出されにくい部分的学習能力の障害(学習障害)や,知的障害を伴わない関係性の発達の障害(広汎性発達障害),注意集中力や衝動のコントロール能力の発達の障害(ADHD 注意欠陥多動性障害)などが無視できない頻度で存在することが明らかになってきた.

スクールカウンセリング('10) p.145

精神科受診を勧めるべき代表的なケースとして,以下があげられている.

  1. 睡眠障害,つまり眠りたいのに眠れないという状態が長く続く場合
  2. 小児科や内科などで異常がないと言われる身体症状が長く続く場合
  3. いつもと比べて明らかに元気がなかったり,人が変わったように見え,それが相当期間続く場合
  4. リストカットや薬のまとめ飲みなどの問題行動が頻発する場合
  5. 幻覚や妄想といった精神病レベルの症状が疑われる場合
  6. 外傷的な事件や災害に遭遇し,その後,うつ状態やぼうっとした状態,刺激に敏感でびくびくしている状態が続く場合

スクールカウンセリング('10) pp.147-148

第13回は「スクールカウンセラーの教育・訓練」となっている.

スクールカウンセラーにとって,異性の思春期の心理を理解することは大変重要なことである.

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