ネット版には上がらないようなので,朝日新聞2月21日付朝刊14面よりスクラップ記事を転載.
国際基督教大学の加藤恵津子准教授の早期採用活動についての意見がオピニオンとして掲載されていた.この意見に強く同意をしたい.
就職活動の早期化には看過できない.ハッキリと言わせてもらえば,百害あって一利なしである.学部生であれば3年次の秋から,修士生ならM1の秋から就職活動を始めることになる.それはつまりどういうことか.その時期というのは学部生であれば卒研配属直前であり,ゼミが架橋の頃であり,1つ上の先輩から卒研を引き継ぐための重要な期間であるといえよう.修士はわずかに2年しかない.M2の9月には中間発表会があるわけで,M2の9月までにおおよその研究は固まっていなくてはならない.しかし,M1の秋から就活を開始しする割には,結局のところ内定をもらうであろう大手は5月頃になる.つまり,このおよそ半年間は研究に打ち込まない修士生が大量発生することになる.そして,就活が終わったら終わったで,「休養」と銘打ち,研究をほったらかしで休み続けるのだ.それが現状だ.こうしたのは誰だ.
早期の就職活動はこのように研究活動に対して,多大な影響を及ぼしている.それ故に,研究活動を通して学ぶべき多くのことが,学べない(学ばない)まま卒業・修了していくこととなる.そして,そのような学生を採用先は採用するのだ.
いや,待て.困るのは実はそれだけではない.特に被害を被りやすいのは工学系学部生だ.4年次から卒研配属となるため,3年次冬~春先にかけては,卒研に関する知識がほとんど無いといって間違いない.そのため,ESや面接等で「卒研は何をやっていますか?」とか「どのような卒研をする予定ですか?」などと訊いても無駄なのである.だって,決まっていないのだから.こういう質問が来たときに,就活をしている学生はどう答えるか.主に3パターンだと思う.「沈黙しきってしまう正直者タイプ」「確固たる意識を持って卒研に挑もうとしているタイプ」「口八丁タイプ」.さぁ.御社の採用試験を受験している学生はどのタイプだろうか.沈黙タイプは別として,後者2タイプを見抜けるのだろうか.見抜けるわけがない.そうだ.つまり,学生は損をしているのだ.ちゃんと判断してもらえていないかもしれない.これが就職活動の実際であり,最前線なんだろう.信じられない.
そして,早期の就職活動,総じては早期の内々定(内定っていうのか?よくわからん)が学生にどういう影響を与えているか.「就職先が決まったから,あとは卒業するだけ!やったー!」と思うのだ.注意したい.「卒業すること」は簡単なことではないはずなのだ.なのに,就職活動には全力投球する反面,卒業研究には一切の注力がされない.これはどういうことだ.そして,年度末になると必ずこういう輩が現れる.皆さんもご存じだろう.
「就職先が決まっているから,卒業できないと困る!」
そういう現状を作り出したのは誰だ.一体誰だ.博士なんざ,修了(正確に言えば学位取得)できるかどうかがわからないため,そう易々と就職活動を始めることはできない.オレはD3の5月から就活として動き始めたが,Dにしては早い方だったと思う.通常,学位取得見込の6ヶ月前頃から学位申請準備に入るため,その頃からやっとこさ就活の目途が見えてくるものだと思うのだ.そうだそうだ.そもそも,学部生の卒業見込証明書は,4年次の4月にならないと発行されないのに,その前に就活しているとか,どんだけ自信過剰なんだよ.
まとめ:
企業にとっては優秀な学生を早期に確保したいと思っているのだろう.だがしかし,そうやって早期化が進めば進むほど,「優秀かどうか」の判断が難しくなり,あまつさえ「優秀だった」学生ですら堕落する可能性を多分に秘めている.青田刈りのつもりなのだろうが,雑草取りになってはいないだろうか.オレは早期化する就職活動を快く思っていない.
自分は龍谷大学という京都にある仏教系の大学の経営学部3年生の者ですが
今回は
経営社会学という講義の参考文献に御ブログを使わせていただくことを許可いただきたくお邪魔いたしましたm(__)m
やはり昨今の過剰な早期化は百害あって一里無しですよね
自分の周りの友人達の中には
合同説明会やらなんやらの就活イベントで講義に出席しなくなった者も自分含めて多くいます
VF19さま
コメントありがとうございます.講義の参考文献に利用したいとのことですが,ネット上の有象無象の意見であることをご理解頂いた上で,出典を明らかにして頂ければ,ご利用頂いて構いません.
就職活動が始まった時期で忙しくなっていくと思いますが,志を忘れずにがんばってください.