これはひどい!なんたることだ.昨今の売手市場の影響はこのような形になっていたのか.絶望した!
朝日新聞2008年3月21日付朝刊11面に,「企業,質維持に腐心」というタイトルで,朝日新聞が行った主要100社に対する09年春採用計画調査アンケートの結果が掲載されていた.1面丸々を割いての記事だが,大半は各企業の採用実績と内訳を示した表なので,どうでもいいわけだ.ここで取り上げたいのはそこではない.
採用にあたって重視する点を選択肢から三つ選んでもらったところ,「コミュニケーション能力」(84社)が最多で「行動力」(42社),「熱意」(41社)と続いた.比較的判断しやすい「成績」「語学力」「マナー」を選んだ企業はなかった.
朝日新聞2008年3月21日付朝刊11面
マジで言ってやがるのか??言ってることが支離滅裂じゃないか.企業が新卒採用に際して,「質維持」を打ち出しているにも関わらず,「マナー」は重視しないと?マナーこそ質ではないか.マナーは新入社員研修で叩き込めば身につくという考えか?敬語もそうだが,普段から使い慣れていないものは身につくまでに時間がかかる.染み付いているモラルハザードをどのようにして払拭しようというのか.オレはノーアイディアだ.
そもそも,「コミュニケーション能力」が最重要視されている点を皆は不思議に思わないのだろうか.これが最重要視されているということは,「コミュニケーション能力」を欠如した学生が多く存在しているということだ.「コミュニケーション能力」なんて社会を渡り歩いていく上での必須技能なのに,そこが判断基準になってしまっている.どれだけ学生の質が低下しているんだよ.ちゃんと人事は見抜いているのだろうか.今時の「コミュニケーション能力」は「口八丁」であるということを.
専門家のコメントとしてコラムには以下のように書かれていた.一部引用.
重視する点として「マナー」を1社も挙げていないように,企業は本質的なコミュニケーション力に注目している.
朝日新聞2008年3月21日付朝刊11面 岡崎仁美・リクナビ編集長
「本質的」って何?顧客でも上司でも,誰でも彼でも構わずにタメ口で,友達感覚で誰とでも接して,上下関係を崩壊させても,仕事さえ取ってくればそれでよろしいと.外注を取って外回りから帰ってきて,エレベータに駆け込んで「あ,社長.5階押して!」とかですか.
最後にとどめを刺したい.同じ朝日新聞2008年3月21日付朝刊の8面には,「マナー低下「感じる」9割」という記事がある.一部引用.
他人との信頼を築くために「マナー」は欠かせない要素といえる.(中略)まず,日本人はマナーをよく守る国民だと「思う」人は28%にとどまり,「そうは思わない」が64%にのぼった.
朝日新聞2008年3月21日付朝刊8面
正に皮肉と言えよう.このような企業体質が日本人のマナーを低下させているのではないかと穿った見方をしてしまう.このブログを読んでいる諸兄諸姉らは,マナーを重んじる素晴らしい方々であると信じてやみません.