元ヘタレが語る,助教の世界

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一応,博士の学位を取得して,すぐに助教の職になった,元ヘタレ系Dのオレ.もうすぐ,着任から1ヶ月が経つので,ここら辺で,助教の視点から見た状況について,ちょっと書いてみたいと思います.

ぶっちゃけ助教ってどうなの?
でら楽しい.正に天職だ.今までの振る舞いがそうであったために,助教になったからって,何かが劇的に変わるものでもなかった.変わったことと言えば,給料が貰えるようになったことと,授業を担当していることぐらいだろうか.TAで給料を貰っていたことを考えれば,それ程の差違は感じられない.雇主によって異なると思うが,オレの雇主である大学の考えに基づけば,助教の主業務は研究活動であるそうだ.「任期付き再任無し」という条件から,使い捨てを想定しているのかと穿った見方をしていたが,そのようなことは一切なかった.

任期付きってどうなの?
ものは考え様だと思います.例えば,助手で任期がない場合にどうなるか.助手として研究成果が十分に得られるような状況下ならいいですが,教授の小間使いをさせられることもあるでしょう.研究がままならないかもしれません.そのような状況下で,飼い殺されたらどうしますか?生かさず殺さず.実績がないから,辞めても行き先がない.こんな状況になったら,困りますよね.

それから,助教に任期が付いているということは,恐らく学科内に常に若い先生が居続けるということに他ならないと思うのです.例えば,任期5年再任無しとか,任期3年再任1回とか,そんな条件でしょう.そうすれば,着任からせいぜい5,6年で助教の職を解任されます.となれば,そのポストが空きます.ポストが空いたら,普通は募集をかけるものです.ということは,常々,新しく若い先生が学科内にいる状態になるはずです.それは素晴らしいことだと思います.

もう1つ.助教で任期付きだと,任期が切れる頃には30中盤から後半くらいでしょう.要するに,その頃には助教ではなく,講師のポジションを獲得しなさい,と暗に示されているようなものです.目標にして励めばいいと思うんです.目標があるというのは,やりやすいでしょ.

給料が安いって本当?
国大では安いっていう話もあるようですが,本当なのでしょうか.本学の給与体系は公務員に準拠しているとかなんとか.詳しいことはよく知りませんが,同い年で学部卒・修士卒で働いている友達に比べても,遜色がありません.というか,むしろ良いです.これも雇主に依ると思いますが.かといって,学部卒から5年,修士卒から3年の差を付けられているので,その分を取り返せるかと言われれば,無理だと思います.それはそれ,これはこれ.なお,任期付き雇用なので,1年ごとの年俸制で更新制になっています.そのため,ボーナスも手当も退職金もなんにもありません.全部コミコミです.それを把握した上で,年俸を18ヶ月で割ると,実質的な月収になるらしい.そういう計算で見るならば,まぁそんなもんかなって額に落ち着きます.でも,こんなに自由で楽しい環境で,教育に携われるならば,金には代え難いものがあると思いますが.考え方次第ですね.不満はないです.

どのぐらい働いてるの?
これまた雇主によると思うので,一概には言えませんが,ウチは週40時間勤務という契約になっています.実際には40時間以上勤務していると思いますが,タイムカードも何もないし,昼飯は適当に食べに行けちゃうし,業務に支障を来たさなければ,基本的に自由です.17時キッカリで呑みに出かけるとか,どんだけ自由w.

なお,授業は週6コマ/2科目ほど担当しています.前任者のテキストに従いつつも,自由にやらせて貰っています.実験楽しいぃぃぃぃぃぃ!!

助教として働いてみて,どう?
うん.服装が難しい.これまた雇主と周りの雰囲気によると思うが,服装は自由みたい.ノータイでいいみたいです.そりゃぁ,式典とかなにかあるときは正装ですけど.それはそれとして,助教って,年齢的に学生にまだまだ近いわけで,区別が付くようにという意味合いも込めて,毎日スーツで通ってます.まだまだ,ノータイにもなれていません.

それから,「○○先生」って言われます.いや,当たり前ですが.最初は結構照れます.授業やゼミの時は別としても,研究室にいるときは博士課程で研究をしていたときと大差ありません.そんな状況なのに,呼び名は一変するという状況に,最初は戸惑いましたが,今でも慣れてませんwww.研究室で「先生」とだけ声を掛けられると,普通にスルーしちゃいます.ゴメンよ.無視しているんじゃなくて,自分のことだと認識できていないだけです.申し訳ないm(__)m.

これから助教を目指そうとしている人たちへ
投げやりに聞こえるかも知れませんが,頑張って下さい.これ以上に言えることはありません.就職先を探すに際して,コネは強力に役立つかと思いますが,絶対ではないことを忘れないで下さい.募集枠が1名とか,せいぜい2名くらいでしょう.でも,臆しないで下さい.応募者の中で1番にならなくてもいいんです.そりゃぁ1番になるのが確実ですが,1番でも採用にならないことがあります.つまりは,マッチング.どんなに素晴らしい業績があっても,雇主が求める人材でなければ,採用されません.就職活動を始めればわかると思います.応募条件に書かれている募集条件がえらく広範囲になっているはずです.例えば,オレの場合は「情報・通信分野」でした.でも,条件が揃っている以上,応募するわけです.じゃぁ,採用枠はどうやって勝ち取るか.ハッキリ言って,運です.これ以上でも,これ以下でもないです.実際,オレも運でした.実力順だったら,採用圏外でしたから.博士課程の指導教員に「運が良かった」と言われ,現在の指導教員にも「運が良かった」と言われれば,「運が良かったんだなぁ」としか思えません.実力はあって然り,応募に全力を出して然り.でも,決まるときは運です.不採用になっても,落ち込まない.

もう1つ重要なことをお知らせしておきます.就職活動をしていることをアピールして下さい.特に,自分が所属している学校の先生方はもちろんのこと,学会で会った方々にも厚かましく言いましょう.学校関係者じゃなくても,企業の方にでも言いましょう.どこで何が起きるか分かりません.就職活動をしているということを前面に押し出して下さい.コッソリやるべきものではありません.

それから,就職先の選別に自由度がほとんど無いと思います.出た募集の全てに応募するような形になるかも知れません.でも,「次の職場を見つけるまでの仮身置きだ」なんて思って,妥協しないで下さい.就職すること,よその大学に移ること,勤務先を辞めること.どれもこれもが,ものすごい労力です.ここでならやれる!という場所に応募した方がいいと思います.働きたくないところで働いていると,きっと心身ともに疲れ果ててしまうと思います.がんばれ!

あと,釈迦に説法だと思いますが,PDは申請しておきましょう.自分の経験から言えば,申請しない方がいいと思うけど.PDという逃げ道がなかったオレとしては,是が非でも助教職を獲得しなければならなかった.要するに,そのぐらいの覚悟がいるのかなとも思います.

要するに,出来うる最大限を行った上で,運頼み.そんなもんです.役に立たない文章ですねorz.

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