事故米騒動

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事故米という聞き慣れない言葉で始まった,米騒動.焼酎業界が大打撃を被ってます.

農林水産省は5日、米販売会社「三笠フーズ」(大阪市北区)が工業用に限った用途で仕入れた「事故米」を、食用と偽って転売していたと発表した。事故米からは、中国製冷凍ギョーザによる中毒事件でも問題になった有機リン系の農薬成分メタミドホスや、カビから発生し発がん性が指摘されている毒素のアフラトキ シンB1が検出されている。

asahi.com(朝日新聞社):工業用の米、食用と偽り転売 農薬・カビ含有 - 食品不正

メタミドホスですか.中国餃子の件で有名になりすぎてるから,反響が大きそう.毒性は十分に理解されているはずだし.食用に適さないから工業用としているのに,それを食用に転売するとは,全く以て言語道断である.事故米3.3トンを1万円で買ったらしいので,相当に儲けていたことでしょう.安く買えて良かったですねー.自分たちが食べる用に転化しておけば良かったのにねっ!

で.この事故米を使わされていた焼酎酒造は以下の5社が公表されている.

【鹿児島県】喜界島酒造、西酒造【熊本県】抜群酒造、六調子酒造【福岡県】光酒造

asahi.com(朝日新聞社):事故米購入の酒造メーカー、5社が公表同意 - 食品不正

これらの酒造のラインナップを見ていこう.喜界島酒造は黒糖焼酎の喜界島が有名だろうか.西酒造は今現在,既にトップページが痛々しくなっているが,芋焼酎の薩摩宝山が有名だ.抜群酒造はよく知らないけど,米焼酎のばつぐんが主力らしいです.六調子酒造は・・・よく知りませんが米焼酎の六調子が主力らしいです.光酒造も・・・存じ上げませんが,麦焼酎が主力のようです.各酒造共に被害は甚大でしょうが,業界に与えるインパクトのでかさとしては,やはり薩摩宝山でしょう.

「とんでもないことをしてくれた。損害賠償を求めたいくらいだ」。看板銘柄の芋焼酎「薩摩宝山(ほうざん)」を一升瓶約30万本分も回収するはめになった西酒造(鹿児島県日置市)の西陽一郎社長は憤った。

黒糖焼酎の喜界島酒造(同県喜界町)。上園田慶太社長も「寝耳に水とはこういうことか。裏切られた思いだ」。工場内に貯蔵している事故米を使った原酒は一升瓶で47万1300本分にもなる。

asahi.com(朝日新聞社):焼酎ブームに冷や水、メーカーは怒りの声 事故米偽装 - 社会

薩摩宝山は一升瓶で30万本・・・.しかも,当分は出荷を控えるだろうから,飲食店等から薩摩宝山が無くなるのは当分続きそう.同じ芋焼酎の黒霧島に乗り換えられちゃうんだろうなぁ・・・.薩摩宝山の被害は一時的に止まらない様相を感じます.さらに,喜界島酒造は原酒で一升瓶47万本の被害を受けているので,さらにやっかいだ.熟成の古酒も台無しになるのだろうか・・・.もったいない.

さて,お気づきかもしれませんが,被害を被っている酒造5社は必ずしも米焼酎を造っているわけではありません.米焼酎を使わないのに何で米騒動?とお感じになられる方もいらっしゃるかもしれないので,ちょっと説明.米焼酎とか,麦焼酎とか,黒糖焼酎とか,芋焼酎とか,焼酎の前についているのは主原料ですね.焼酎を造るには,一次仕込み~二次仕込み~蒸留という流れを辿ります.この二次仕込みで芋を使えば芋焼酎で,麦を使えば麦焼酎なんです.さて,問題になるのは一次仕込みです.一次仕込みは麹と水と酵母を混ぜて,酵母を育てる行程です.この麹は蒸した米に麹菌を付けて作ります.基本的に,日本酒と一緒です.これがないと醸せません.ということで,米焼酎じゃなくても,米を使っているんです.不思議ですね.

まとめ:
焼酎への被害は甚大.よもや日本酒に波及してくることはあるまいな.日本酒を造るための米は普通の米とは全然違うので,きっと大丈夫のはずです.輸入米なんて使うはずがないし・・・.

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