理科の授業で使う実験器具や教材の費用として、文部科学省は、200億円の予算を政府の新経済対策に盛り込む。昨年度までの数年は年13億円前後で推移。 厳しい財政事情で購入費がゼロの学校もあるため、例年の15倍の「特盛り」予算で、「理科離れ」「理科嫌い」を防ぐことにした。
なんとなく,論点が狂ってる気がします.確かに,実験器具が足りてないので,それを購入するための予算を組んだことは良いと思います.実際に,実験教材を教員が自費で買ってたりするので,目も当てられない.御上は理科離れ対策を叫びました,現場は悲鳴をあげました.笑い話ですね.
なにを言いたいかというと,人がいないんです.実験機材は買えても,人を雇うための予算ではないようです.物があっても,それを使える人がいなければ意味がありません.中高は別にしても,少なくとも小学校には理科専任もしくは実験特任を送り込まなくてはいけません.そうしなければ,物があっても小学校理科で実験が行われる頻度は一向に増えないでしょう.
それは何故か.分からない人は想像力を働かせて下さい.小学校の先生は基本的にクラスに密着なので,全教科を担当します.国語も算数も社会も体育もそして理科も.最近は,TTが導入されたり,教科専任が増え始めていますが,まだまだ足りません.話を戻すと,理科実験が増えない理由は至って簡単で,時間がないからです.いいですか.国理算社体という時間割だとしましょうか.理科実験の準備はいつしますか?いつ片付けますか?始業前に準備しますか?1時間目はその理科室が使えなくなってしまいますね.では1時間目と2時間目の間に準備しますか?わずか5分で?無理でしょ.じゃぁ2時間目の始業後にやりますか?授業時間がどんどん減っていきますね.このように,理科実験はその性質上,小学校の教員が簡単にできるようなものではないのです.だから,理科専任が必要でしょう.実験特任でも構わないでしょう.少なくとも,実験をサポートする役割をする人員を配置しないと,理科実験を気軽にできません.
そういうことを3年前に現場で体感してきました.小中に理科補助教員として派遣されていたわけですが,中学校は理科教員がいるのでそれ程ではありませんでしたが,小学校における理科補助教員の役割は重要だったと思います.理科離れ対策はまず人員から.是非.
200904131544追記:
理科支援員等配置事業ってのがあるらしい.JSTがやっているらしい.オレがいう理科補助教員とほぼ同じことだと思う.違いは,JSTのは2008年度からで,オレが理科補助教員をやっていたのは2006年度のこと.しかも,雇い主はJSTではなく,市教委.先駆的な試みだったと思います.オレが着任したのは初年度で,認知度が全くなかった所為で,「募集したけど人が来ないよ!」ってわけで,急遽招聘されたわけだし.なんとなく,知名度が低そうなので,宣伝宣伝.