電子情報通信学会誌 Vol.92, No.6に面白くも笑えない話が載っている.
それは国際会議の論文だった.論文内容に関しては,何度か添削を繰り返していた.(中略)実は,論文題目,所属,所在地を間違える学生は結構多い.一番重要なところであるが,一番の盲点でもある.しかし,まさか学生が自分の名前を間違えているとは思わなかった.
(中略)
この一件以来,論文題目,著者全員の氏名,所属,所在地を何度も何度も入念にチェックするようになった.最近の学生は自分の所属を正しく書けない者が多い.大学の組織再編で名称がコロコロ変わるのも一因であろうが,なにか根本的な原因があるのかもしれない.超難関某私立中学校では,1年生1学期の国語の中間テストで,その学校の名称を書かせる問題を毎年出題しているそうである.最近の子供は,記憶力が悪いわけではないのに,自分に関係する固有名詞を正しく記憶できないらしい.
電子情報通信学会誌 Vol.92, No.6, 2009, p.492
うーん.過去に見たことがあるのは,所属がデタラメだったことと指導教員の名前を間違えていたことくらいだろうか.共著者の名前の漢字を間違えていたこともあったなぁ・・・.名前の間違いって,データベース化する時に問題になるから,しっかりとしたいです.かくいう私も,学位申請をするまで,所属の正式名称を間違えていたし.というか,多くの人が事務手続き上の名称を正式名称だと思い込んでいたし・・・.組織再編で名称がコロコロ変わるからだ!いや,私の場合は間違いなく組織再編の煽りを受けているのだが,普通は組織再編があったとしても入学時のカリキュラムが適用されているので,卒業までは所属名が変わることはないと思うんですが,いかがでしょうか?
実は名前を間違えた話を取り上げたかったわけではなく,最後の部分に言及したかった.つまりこれは,アイデンティティが希薄になっているというか,アイデンティティが消失しているというか・・・.恐らくは所属とか帰属とかに興味がないんだと思います.もしかすると,名前を間違えた話も,自分の名前に興味がなかったのかもしれません.つまりは識別できさえすれば,識別符号は何でも良くって,「おい」でも「おまえ」でも「4403」でもなんでもいいのかも.mixiやらgreeやらモバゲーやらで,会ったこともないネット上の知り合いもいるでしょうから,本名というアイデンティティに意味はないのかもしれません.これからの時代は,ペルソナ(ネット上のアイデンティティ)から染み出るアイデンティティこそが,中の人のアイデンティティの本質に1番近いのかもしれません.ややもすれば,私は私の本名で活動するよりも,4403と名乗って活動した方が,正しい生き方ができるかもしれない.論文の投稿って,本名じゃないといけないって規定はありましたっけ?