教育社会学('07) 第14回

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放送授業も残り2回となりました.第14回は「生涯学習社会の展望」です.

内閣府が2005年に実施した生涯学習に関する世論調査によると,生涯学習として,健康・スポーツが22.1%,趣味が18.9%,パソコン・インターネット関連が12.0%の実施となっている.皆さん,色々と生涯学習を実施しているのですね.生涯学習に似た言葉として生涯教育があります.これは1981年の中教審答申「生涯学習について」で以下のように定義されている.

今日,変化の激しい社会にあって,人々は,自己の充実・啓発や生活の向上のため,適切かつ豊かな学習の機会を求めている。これらの学習は,各人が自発的意思に基づいて行うことを基本とするものであり,必要に応じ,自己に適した手段・方法は,これを自ら選んで,生涯を通じて行うものである。その意味では,これを生涯学習と呼ぶのがふさわしい。

この生涯学習のために,自ら学習する意欲と能力を養い,社会の様々な教育機能を相互の関連性を考慮しつつ総合的に整備・充実しようとするのが生涯教育の考え方である。言い換えれば,生涯教育とは,国民の一人一人が充実した人生を送ることを目指して生涯にわたって行う学習を助けるために,教育制度全体がその上に打ち立てられるべき基本的な理念である。

生涯教育について(答申)(第26回答申(昭和56年6月11日))

教員という立場であれば,こういう情報を持っていて然りだと思うけど,普通に大学にいても,この手の情報に触れることはない.やはり,教育者たるもの,どこかで教育論を学ばないとダメですよね.教育に関しては我流は良くない!

生涯学習の社会的側面として,学歴社会の是正という観点がもたれるが,それについての注目すべき指摘がある.

市川照る午氏は,「人々の自発性に任せておいたのでは,学習量の多いものがますます多く学び,客観的に見て学習する必要の大きい者が少なく学ぶことになり,その結果,教育格差がますます拡大する」(市川,1981)と述べている.

教育社会学 p.215 ll.3-6

ウェブ進化論で指摘されている学習の高速道路に近いものを感じる.実のところ,生涯学習は必要なものではないので,自発的学習意欲のある者は学び,そうでないものは学ばないという構図になるだろう.教育機関においても,学生は自発的学習意欲を失っており,学ぶ力がなくなっている.その典型は研究室であって,自発性のある者はどんどん伸びるが,自発性のない者は今までの学生生活を帳消しにするかのように堕落していく.

生涯学習に限らず,学ぶという意欲を一度失ってしまうと,それを取り戻すことは至難である.例え意欲が少なくても,失ってしまうよりはいい.意欲を継続し続けることが大事なんだろうなぁ.そういう指導が大学では必要なのだろうなぁ.よくわかりません.

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