研究者はもっとオープンになるべきではないか

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Clip to Evernote 研究者はもっとオープンになるべきではないか

前々から思っていたことが,色々なところで独立に書かれ始めているので,勢いで書いてみる.

情報公開に積極的でないこと

これも残念ながら事実だろう.各研究者が熱心でないこともあるのかもしれない.

私は自分の研究報告は,学会の著作権規程に反しない限り,少なくとも自分のWebページでは出している.最近はGoogle Scholarのような検索サイトもあるし,学会に参加していなくても論文は読めるようになってきた.USENIXのように,査読つき論文でも全部会員資格なしで読めるように公開するようにしたところもある.

各研究会の感想については,Webでもそれなりに感想は出ているように思う.ただ,参加者の多くに,情報を共有する習慣がないのと,研究会で研究報告を出したらそれ以上の議論が出てこないという,現実的な問題はある.

情報系学会の研究会はもはや勉強会に負けている可能性が高い - jj1bdx: life beyond Japan

確かに,学会というのは閉鎖的なのかも知れない.修士の頃は,研究会なんて仲間内の集会のような雰囲気すら感じた.そんなところに初めて行こうものなら,オレテラ空気になってしまう.でも,その中に入れた時は,とても楽しい.だから,もっと学会は開かれていたらいいと思う.

研究報告をしたら,それで終わり的な感覚も多少感じる.オレはどちらかと言えば,研究ができないおちこぼれ君なので,研究報告をするというよりも,こんなことやってるんですけど皆さんと議論したいですって感じ.でも,そういう場って,呑み会くらいしかないんです.だから,懇親会に参加するし,雑談するする.研究会って,本当にすごい人達から,駆け出しの修士まで,色んな人がいるわけで,いわゆるIT系勉強会のような勉強会があってもいいんじゃないのかなとは思う.その場が,ブログだっていいんじゃないのかなと思う.

最近の論文を学術雑誌や学術会議に投稿している職業研究者の多くは、自分のWebページを持っている。昔は当然ながら自分のWebページなどは持っていない。最近でも、昔ながらの研究者の方々は案外Webページを持っていないと思われる。なにせ、2006年にこれからホームページをつくる研究者のために―ウェブから学術情報を発信する実践ガイド (ACADEMIC RESOURCE GUIDE) という本がでているくらいなので(この本の悪口を言っているわけではなく、この本を出版しなければならないという動機が生じる現状から)。

研究者データベースと公募データベース - 発声練習

この話も共感できる.研究者の使命として,研究成果で社会に貢献することが挙げられるとするならば,研究者はもっとオープンになるべきではないか.研究成果を特許や論文という形にすることはとても重要なことだと思うが,駆け出しの研究者や,そもそもその分野の研究者ではないが興味を持っている一般の人に,広く自分の研究成果を公開してもいいのではないだろうか.情報を積極的に発信することで,今では多くの人がその情報に触れることができ,もしかすると,その刺激によって,脳味噌がグルグル回り始めて,次世代の尖端研究者が生まれるかもしれない.それは可能性の問題.可能性は開く方向で.

メタボはさておき、実は自分が何を知っていて、何を知らなかったのかというのは、その「知」に触れてみないとわからないのではないか。

ここに書いてあることは、あなたがもう百万回も目にしたことかもしれない。他でもっとわかりやすく洗練された形で紹介されていることかも知れない。いや、多分そうだろう。

しかし、私は知らなかった。知らなかったことさえ知らなかった。

そしてそれを知ることで、私の中の何かが変わった。

そういうことを、書いていけばいい。

404 Blog Not Found:それを知らなかったことは知ってはじめて知る

全く以て,人間原理.

宇宙があるべき姿をしているのは,人間が観測することによって初めてそうであることを知ったからだ.

涼宮ハルヒの憂鬱 p.230

ある情報がそこにあることを知ることによって,ある情報が存在することを初めて知るのである.だって,ムペンバ効果が出てこなかったら,雪氷学会を知るよしもなかったわけだし.研究者は多くの人々に対して,先端研究に触れられる機会を準備するべきではないのだろうか.オープンに議論するべきではないのだろうか.研究会に参加する様な常連研究者には当たり前の知識であっても,駆け出し研究者や興味を持っている非研究者は知らないかもしれない.それを「勉強不足」で片付けることは簡単だが,そうやって閾値を挙げて,門戸を閉めてはいないだろうか.メタ研究というか,メタ学習というか,そういった類のものはどんどん開かれたらいい.

理系離れが嘆かれる昨今.理系研究者が理系の素晴らしさをどんどんオープンにしていったらいいと思う.学習の高速道路を準備したらいいと思うし,そうなればいいと思う.残念なことに,オレはダメな研究者の代表格なので,先端を紹介するなんてことはできないのだが,入口部分の門戸を開くことはできるかなと思っている.1人1人ができることをやればいいと思う.みんながベストを尽くす世界って,テラ桃源郷.

200809302014追記:
CEATECに行っていたので,確認できていないが,初ホッテントリしたっぽい.アクセス数がすごいことになってるw.

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