長期化する就活と機会損失

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学生が授業に出られない。欠席者が多くゼミが成り立たない。大学生の就職活動(就活)が長期化し、内々定に時間がかかるようになったため、大学キャンパス が四苦八苦している。「卒論どうしよう」という学生の嘆きも聞かれ、大学は「大学の教育機能が低下してしまう」と、採用活動は休日や夏休みにするよう企業 に要望している。

就職活動:学生「授業より就活」 3年秋に始動、4年秋以降の内定も - 毎日jp(毎日新聞)

今春の就職活動も困難を極めているようで,就活の長期化が深刻になっている.2月頃から始まり4月初旬に終わるのであれば,実質的に大学の授業などに影響を及ぼすことは少ない.しかしながら,前年10月頃から始まり6月になってもまだ終わらないとなると,実に1年の半分以上を就活に費やしているわけで,その機会損失は計り知れないものがあると思う.

この手の話題はこのブログでも何度も取り上げており,1年周期のループトピックであるようにも思える.でも,やはり書いてしまう.

時間は有限でかつ一方向なので,失われた時間は取り戻せないし,二重化することもできない.そのため,あれもやりたいこれもやりたいというのは認められず,何かしらの取捨選択が必要になる.だから,授業を欠席して就職活動に勤しむのは,そのような選択をしたということであり,それは1つの解だと思う.大学や先生によっては,就活を理由にした欠席は欠席として扱わないという場合もあるだろう.だがしかし,それに満足するような学生はダメだ.あくまで,授業を欠席したとして扱わないだけであって,その時間に行われた講義を受けていない事実は変わらない.取り返す努力をするか,欠席扱いにならないことに慢心するかは自由である.慢心するにも2通りあって,受講する機会を損失したことを自覚し,単位取得が適わなくても認められる人と,「就活だから仕方がないじゃないか!」とキレる人にわかれる.

これはなにも授業に限ったことではなく,ゼミや研究でも同じであって,就活が理由であれば研究が進まなくても仕方がないというのはおかしな話である.就職活動をするのは全く問題がないが,それによって失われた損失は必ずどこかで取り返さないとならない.その努力をするかしないかは,その後の評価に大きく影響する.

そしてこれは企業に伝えたい.就活の長期化によって,学生は間違いなく学ぶ機会を損失している.ゆとり教育の影響が叫ばれる昨今,大学で学ぶべきことは増えている.反面,社会からの要請として,大学は教育がなっていないと言われ,そのために新入社員教育やら入社前研修が必要であると言われている.大学は教育したいのだが,教育の機会を損失させられている.就活の長期化によって.

そして,学生は忘れてはいけないことがある.就活が大事だということはよく分かるし,異論はない.だがしかし,卒業しなくては就職すらもできないという事実を忘れてはいけない.就活だけが大事というのは幻想である.「就職先が決まっているから(研究なにもやってないけど)卒業できないのは困る」というモンスタースチューデントにならないで欲しい.就職が決まったのならば,卒業に向けて全力を尽くして欲しい.就活のそれと同じくらいに.

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コメント(2)

とはいえ現実的には、就職できずに卒業というパターンが一番最悪かとおもいますが。。

それはその通りかと思います.

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