5月末にお腹が痛い旨をつぶやいて以降,実に1ヶ月以上に渡って,原因不明の腹痛と下痢と血便を繰り返していました.その件について,本日,ついに確定診断が下りました.病名は潰瘍性大腸炎です.
潰瘍性大腸炎とは:
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。
潰瘍性大腸炎は厚生労働省が定める難治性疾患克服研究事業(難病)に指定される130疾患の1つであり,その130疾患の中で特定疾患治療研究事業(特定疾患)に指定される56疾患の1つです.特定疾患なので,所定の手続きを経て特定疾患医療受給者証の交付を受けることで,公費による医療費助成を受けることができます.
平成20年度特定疾患医療受給証交付件数によれば,潰瘍性大腸炎は10万人超であり,特定疾患の中で最大の罹患者数となっています.1973年から特定疾患に指定されており,なおこの状況で増加傾向にあります.その一方で,年々罹患者数が増加している点から見て,直接的に死に至る病ではないとも言うことができるかと思います.
この病気は完治するのですか?:
残念ながら、この病気の原因が解明されていない現在では完治する治療法はありません。しかしながら、規則正しい生活とお薬の服用で長期間にわたり寛解を維持し、発病前と同じような生活をしている患者さんはたくさんおられます。
発症からの経過:
5月31日に下腹部痛に見舞われる.以降,下痢症状となる.6月9日に風邪のような発熱が見られた.この頃より,血便が観測される.6月14日にこの件で初めての通院をする.深刻な病気とは思っていなかったので,町医者的なクリニックへ.細菌性感染を疑われ,抗生剤のクラリス他を処方される.6月18日,再通院.クラリスの効果が認められないため,抗菌剤のクラビット他に処方薬が変更されるとともに,総合病院への紹介状を頂く.
6月22日に転院.症状を伝えたところ,潰瘍性大腸炎という病気がある旨の話をされる.なお,この時点では潰瘍性大腸炎という病気を知らなかったため,胃潰瘍の大腸版だと楽観視していた.「教師ですか.精神的なものだと良いですね」と言われイリボーを処方される.今になって思えば,担当医はこの時点から潰瘍性大腸炎を第1に疑っていたものと思われる.あわせて,血液検査を受けるとともに,次週の内視鏡検査の予約を取る.6月25日,イリボーの薬効が限定的で,お腹が張る副作用が強く見られたため,病院に確認した後に,イリボーの服用を中止した.
6月29日に内視鏡検査を受ける.入れ始めたところから酷い状況であることが明らかだったらしく「あー.痛かったら言って下さい.今日は無理しないで奥まで入れませんから」と告げられる.どの程度が我慢してはならない痛みなのかがわからない不器用なボクは何も申告しなかったので,結局大腸の1番奥までカメラを進められた.戻りながら診察していくのだが,状況は最悪で,大腸全体に炎症と膿が見られた.これは潰瘍性大腸炎では全大腸炎型という分類となる.潰瘍性大腸炎を確定診断するためには,それ以外の病気ではないことを証明する必要があり,消去法の結果として潰瘍性大腸炎となる.そのため,培養やら生検のために6回の組織採取が行われた.検査終了後,「確定診断された患者さんにお渡しするものですが」と述べた上で,潰瘍性大腸炎に関する文書資料を2通下さった.担当医はこの時点で何かしらの確信があったものと思われる.処方薬は「気休めですが」と言われながらラックビー微粒Nが処方される.なお,処方量が通常量の2倍であることが薬局で判明する.
7月6日,病理検査等の結果から,潰瘍性大腸炎で確定診断となる.最初に告げられたのは「どこで治療をされますか?」という質問であった.要約すると,この病院では定められた治療しかできないが,大学病院などに転院すれば保険外診療で新薬なども使うことができるという話.ATM療法のことと思われるが,5-ASAが効果を発揮してくれることを期待して,転院せずに治療を行うことにした.
今後の展望:
まずは内科的治療として内服薬による治療が行われる.処方薬はラックビー微粒N1gを毎食2包,ペンタサ錠500mgを朝夕2錠,ペンタサ注腸1gを週2回,キシロカインゼリー2%となる.調剤薬局に処方箋を持ち込んだところ,ラックビー以外の取り置きがなかったため,取り寄せになった.
最初の2週間はペンタサ(5-ASA)が体に合うかどうかを試す期間らしい.そのため,処方量は半分.全大腸炎型なので,上と下からの挟み撃ち作戦ということで,内服薬と注腸外用薬の2種類.2週間後からは本格的な治療に入り,ペンタサが倍量になるらしい.その後,ステロイドを使うとかなんとか.
今後は活動期と寛解期を繰り返すことが予想されるが,寛解期を維持することで,少なくとも入院をしなければ,内服薬を飲み続けなければならない点を除いて,健常人とほぼ同じ生活ができるものと期待される.
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